【静岡の高校サッカー戦後史Vol.85】静岡北が1977年度、再び全国総体へ!「20周走らされた借りを返そう」とV候補の浜名を撃破

【静岡北③】猛練習実り2度目総体

※2011年3月〜11月に「静岡の高校サッカー 戦後の球跡」のタイトルで静岡新聞に掲載した連載を再掲しています。年齢等も掲載当時のままです。静岡サッカー応援アプリ「シズサカ」でまとめてご覧いただけます。

1977年度全国総体県予選決勝。静岡学園に競り勝ち、喜び合う=県営草薙球技場


自動車工(現・静岡北)の2度目の全国舞台は、デビューから4年たった、1977年(昭和52年)度の全国総体だった。

新チームのスタートは前途多難を思わせた。県新人大会の中部地区予選で敗退し、県大会に進むことすらできなかったからだ。ただ、出だしのつまずきは格好の発奮材料になった。「何とかしなければ」と朝練を開始したのだ。

朝練はGKで主将を務めた今井雅隆(J山形スタッフ)ひとりで始まったが、たちまちチームに浸透。さらに、「1日、4回練習した」と、ゲームメーカーの斉藤昌明(三立不動産)がいうように、猛烈な練習に発展した。成果は総体県予選に表れ、頂点に立った。

浜名との準々決勝

今井は「ポイントは準々決勝の浜名との一戦だった」と指摘する。浜名には春の遠征で0-2で完敗し、グラウンドを20周させられた苦い思い出があった。

浜名は前年度優勝校で、77年度もV候補の筆頭だった。監督の高橋節夫(静岡市葵区在住)は「勝てるぞ」と鼓舞したが、内心では「難しいと思っていた」という。しかし、選手たちは「20周走らされた借りを返そう」と気迫の戦いを挑み、2-1で競り勝った。

本命を倒したことで、勢いに乗った。準決勝は浜松湖東を2-0と圧倒、決勝は滝井修(静岡市駿河区在住)がヘディングで決勝点を奪い、静岡学園を1-0で下した。

全国ベスト8進出

全国総体は、初戦(2回戦)で宇都宮工(栃木)と対戦した。前半7分に先制されたが、徐々に調子を上げ、斉藤が2点、鈴木淳一(ジャパン・リリーフ)と滝井が1点ずつを加点し、4-2で退けた。CKを直接決めた鈴木は「蹴る瞬間ひらめき、カーブを掛けた」と会心の一撃を思い起こした。

3回戦は柱谷幸一(前J浦和GM)を擁する京都商(現・京都学園)にPK勝ちし、ベスト8に進出した。準々決勝は島原商(長崎)と顔を合わせた。

夏場に強い島原商を相手に、前半はリズミカルなプレーをみせたが、後半、がくんとペースを落とし、1点をもぎ取られた。総体会場地の岡山は、猛暑が続いていた。熱暑に動きを止められ、0-1で惜敗した。

「相手に力があった」と今井。利き足の左足を負傷していた斉藤は「暑くてきつかった。しかし、それ以上にけがをしていたのが悔しい」と、無念の敗戦を回想した。(敬称略)

1977年度全国総体県予選決勝先発メンバー

GK
今井雅隆

FB
赤井耕二
長島政浩
小久保弘之
真鍋護

HB
早川誠治
斉藤昌明
鈴木淳一

FW
滝井修
油井昌義
吉田憲史
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