
8mmフィルムを多用!自主映画を思い出させる雰囲気に!
最近はテレビアニメなどでもエンディング映像を個人作家さんに、その人のスタイルで作ってもらうというケースが増えているのですが、これもまさにそういう形のエンディングでした。巡宙艦ボンタさんと、『マケイン』本編でビジュアルボードとしてクレジットされている大谷藍生さんという2人のユニットで作っています。巡宙艦ボンタさんのXによると、シネマカメラでの撮影や作画、カラーグレーディングを大谷さんが、映像設計や編集、各種特殊撮影、8mm撮影などを巡宙艦ボンタさんが担当されているとのことです。見ればわかる通り実写映像がかなり使われているのですが、そのかなりの部分で8mmフィルムを使ってます。8mmでコマ撮りしながら校舎の廊下を進むというところなど、往年の自主映画を思い出させる雰囲気です。アナログの8mmフィルムの持つローファイな映像が雰囲気を醸し出してます。デジタル機材である、シネマカメラで撮影したカットも、色味を8mmフィルムに合わせていているようです。
このエンディングでは、もうひとつアナログな手法が使われていて、それがセル画です。2000年ごろまでアニメは、透明なアセテート樹脂のフィルムにセル絵の具で色を塗ってキャラクターを表現していました。もう基本的に制作現場では使われなくなった手法ですが、このエンディングでは使っています。しかも、デジタルカメラの前にキャラクターを描いたセル画を設置し、校舎や書店などの実景の中に、キャラクターたちがいるという風景を撮影しています。特に校舎は、モデルとなった実際の校舎でロケをしたそうなので、「本当の風景の中に『マケイン』のキャラクターがいる」という光景を実現したものになってます。
このあたりのコンセプトは、巡宙艦ボンタさんによるもののようです。巡宙艦ボンタさんは、MVなどのお仕事でも実写映像を組み合わせていたりします。国内のみならず、海外のファンもこのアナログな手法には大変驚いたようです。
巡宙艦ボンタさんは若手のインディペンデント作家さんで、YouTubeに「ダンジョン&テレビジョン」という企画のパイロットフィルム(作品の方向性を確認・プレゼンテーションするためのショート映像)もアップされています。これは簡単にいうと中世ヨーロッパのようなファンタジー世界にテレビがあり、ダンジョン攻略の生放送をやれと言われる話です。そこに登場するテレビそのものも1950年代とか、60年代初頭くらいの古い感じのもので、ブラウン管でしかもモノクロ。当時のテレビ番組でプロレス中継をやっていたようなムードで、騎士が馬上で槍で突き合う試合の中継とかをしていたり、人形劇をやっていたり。テレビアニメが普及する以前のテレビを思い出させます。間に「映像が乱れております、お待ちください」といったメッセージが出たりとかします。
すでに第1話は完成し、新潟国際アニメーション映画祭でお披露目もされたとのこと。これから多くの人が見られる機会が来るのではないかと期待しています。とりあえず『マケイン』のエンディングも、「ダンジョン&テレビジョン」のパイロットフィルムもYouTubeで見られます。ぜひ見てみてください。