
須藤大輔監督
―相手はクルークス選手、倍井選手の両サイドが強みだと思うが。
われわれの背後というのは狙ってくると思います。まずはボールホルダーに対して簡単に、どこにでも出せるような状況は作り出したくないので、どれだけ規制をかけられるかが重要になると感じています。
―県民の期待も大きい一戦。
サッカー王国静岡。われわれとしては蹴球都市をうたってますからプライドを持ち、われわれらしいサッカーを表現して、藤枝スタイルを全国に轟かせるのが使命です。結果は大事ですが、内容にもこだわりつつ、際(きわ)の部分での勝利を。ひたむきさや走力といった部分を見てもらえるようなゲームにしたいです。
―互いにビルドアップが特徴的だと思が、ポゼッションもトップレベル。勝敗を分けるところは。
まずポゼッション率は、勝つ確率を上げるための作業として捉えています。サッカー界でよく言う、ボールを持っているから勝つというわけではないというのは証明されています。しかし、われわれはボール保持率、パス本数、パス成功率、シュート数、シュート枠内率、何よりもゴール期待値。この2戦は連敗しましたが、その数値は非常に高い。持たされているわけではなくて、しっかりとコントロールをして、ゴール期待値も相手より高い。でも決めきれないというところだけが足りない。一番大事な数字の勝ち点3をたぐり寄せられてはいないのですが、それを全て否定はしない方がいいのかなと思いす。本当に自分たちのやっていることを信じて、最後にここに来るいう思いを持って飛び込み、足を振り、クロスを入れ、ファーストタッチで止める、というところにこだわってやれば必ず結果はついてくると思っています。
―今日は厳しい表情で練習を見守っていた。
僕の思いの丈は、全てミーティングで吐き出しました。50分ぐらいしましたが、選手も耳が痛くなるような話を全て伝えさせてもらいました。だが、ピッチ上で表現するのは選手たちなので、必要なものはインプットし、悪いものは弾いてもらいたい。やはり聞く耳を持つことは大切です。それは私も同じ。選手たちが、こうした方が良いのではないかというところがあれば、聞くべきだと思いますから、そのように作り上げていきたいです。
―磐田と戦う意義については
磐田は非常に歴史、実績のあるビッグクラブ。うちの選手たちもやる気に満ちていると表情を見ても分かります。サッカーではそういったクラブにも勝てるというロマンがあります。現実を見ながら理想を追い求めて勝ちたい。相手は攻撃的なチーム。どう抑えるかではなく、どうやってやらせないかというマインドを持って戦っていければ。
―チームトップの得点を挙げる浅倉廉選手について
本当にたくましくなっているなと感じます。いろんなポジションをやっていますが、何より躍動感やオーラが出ている。もちろん数字的にはもっと上げてもらいたいのですが、今彼は数字以上のものを出せていると思います。彼に触発されるように全体的に攻撃的なマインドが構築できている。引き続き輝きを出し、その上で数字を残すことができれば、より大きな成長につながると思います。
―藤枝に所属していた現・磐田の渡辺りょう選手について。
メリハリが効いている印象です。彼の特徴のある献身的なプレーというのが磐田全体のスイッチになっている。彼は藤枝に来た当初は、悪く言えば自分が楽をして点を取るという作業をして、なかなか取れなかった。でも話をしているうちに、献身的なプレーをすることによって最後にボールが落ちてくるよということを体現した選手でした。最初は一発で点を取りたいから、裏抜けだけしかなかったけれども、ここに来て関わる動きや誰かを生かす動きができるようになった。その部分が目についてJ1にいったと思います。本当に自分が足りないところをインプット、アウトプットできているなと感じています。J1に行って壁にぶち当たって移籍したと思いますが、彼本来の動きというのが最近の試合では出ていると思います。
金子翔太
―古巣である磐田との対戦への心境は。
まず、藤枝の練習場にこれだけ多くの報道陣に来ていただくことはなかなかないので、人数を見てみんな驚いています。藤枝に移籍してきた時から、磐田との対戦は非常に楽しみにしていましたし、5月11日に試合があるというのは開幕前から意識していました。この試合は内容よりも結果が問われると思います。蒼藤決戦は歴史があるわけではないのですが、ここからもっと認知、注目されて盛り上がっていけばと思います。選手たちも緊張感を持っているので、良い試合になるのではないかと思います。
―勝つことによって得られるものは。
僕たちももっと上の順位で戦いたかったですし、磐田も当然、トップを走る戦力がある中で、互いにまだきっかけをつかみきれていないと思います。でも直近のゲーム内容は関係なしに、この一戦で今後の行方が左右される。勢いは確実に勝った方につくと思うので、僕たちは今、少し低迷していますが、この一戦に懸ける思いは相当なものがあります。
―相手の印象は。
ストロングな部分がはっきりしている印象です。僕も分析の方と一緒になって考える時間もありました。相手は非常に能力のある選手たちの集まりなので、彼らの良さを消しつつ、藤枝のスタイルをぶつけて、ガチンコで勝負したいと須藤監督も話していました。勝利に飢えているところを見せたいです。
―ヤマハスタジアムで戦うことへの思いは。
勝手に気持ちが入る試合になると思います。ヤマハスタジアムでプレーするのが大好きでしたし、磐田の選手たち、サポーター、地域住民など、本当にお世話になっている方がたくさんいて、今でも応援してくださっている方が多いです。そんな人たちに対して自分が成長した姿を見せたいです。やはり金子翔太は良い選手だよなと思わせたいし、証明したい。自分のプレーを思う存分発揮して、勝ちにいきたいです。
―磐田時代は藤枝との対決で2点を取っている。
その時は名称がまだ決まっていない中での磐田と藤枝の対戦でしたが、当時もヤマハスタジアムで2点を取ったので、今度は藤枝の選手として磐田相手にゴールを取れたら幸せだと思います。それをイメージして練習に取り組んでいるので、彼らのウイークポイントを突いて、ゴールを奪って恩返ししたいなと思います。
中川創
―仙台戦を振り返って。
ゴール前までいく質は、良い形で自分たちの思うようにボールを運べる時間帯も多かったですし、イメージの共有もできたと思います。でも結局、サッカーはどちらがゴールネットを多く揺らせるかなので、その差がゴール前で出たと思います。守備では球際、攻撃では迫力の部分が足りなかった。本当にゴール前での違いが仙台と僕たちの差であると感じました。
―1失点目はカウンターから。
リスク管理という部分では全体として少しは修正できたのかなと思いますが、結局あのような形で、球際でいくつか負けてミスが何個か続いてしまいました。須藤監督も言っていたと思いますが、戻すところを戻せないといったことが続いてしまうと、相手も力のあるチームなのでシュート1本でいかれてしまう。せっかくあれだけ良い時間が続いていたのに、あの1本で仙台を乗せてしまったという印象です。もったいない失点が続いてるというのは、素直に反省しないといけないなと思います。
―いよいよ磐田戦を迎える。
最近はなかなか勝ててないのですが、ここで一つ良いチームに勝つことができれば、もう一度勢いを取り戻せるチャンスにもなると感じています。大きなクラブだからといって相手に合わせるのではなく、自分たちのスタイルでどこまでやれるか。なおかつ結果をたぐり寄せるためにはまず練習からやらないといけない。自分たちが少しずつ上積みできてきている自信を本気で信じるために、必要な良いゲームになると感じています。磐田での生活は個人的に悔しいことが続いたのも事実です。でも多くの選手やスタッフからいろんなものを得られたシーズンも過ごさせてもらいました。そういったクラブに対して、自分が良いパフォーマンスをすることがとても重要。個人的にも負けたくない思いは強いので、気を引き締めてやりたいです。
―特に警戒する選手は。
直近の試合を見ていても圧倒的に点数を取っているので、誰がというよりも全体です。前の選手は相当能力が高く、1人で持っていけますし、1~2人でゲームを終わらせる力もあるので、仙台戦や水戸戦で出た課題を踏まえ、もっと警戒しないと本当に簡単にやられてしまう。そうすると、アウェーですし完全に飲まれてしまうような展開にもなってしまうと思うので、まずはリスク管理の部分をしっかりやっていきたいです。全員が上手く、攻撃に対してかなりスキルのある選手が多いので、すごく楽しみではあります。
―ヤマハスタジアムでのプレーはいつ以来か。
2年ちょっと前ぐらいですかね。
―磐田にいた期間で学んだことは。
加入当初、コロナもあった中で試合が不規則にありました。そんな中で外国人監督のもと、GKを除けば多分、唯一僕だけがメンバーに入れませんでした。けがもなかったのですがベンチに入ることもできず、半年以上ずっとメンバー外の時間が続いていました。そして監督が変わって、アビスパ福岡のホームで急遽僕が出場してゴールを決めたというのは今でもすごく印象に残っています。磐田での1年目は、試合に出られない、ピッチに立てない期間の過ごし方をベテランの選手たちから教えていただきました。 20歳ぐらいだったと思いますが、僕にとっては選手を長くやっていく上で、ものすごく大切な経験でした。山田大記さんだったり八田直樹さんだったり、磐田のレジェンドと呼ばれる選手たちのそばでプレーできたのもそうですし、遠藤保仁さんや今野泰幸さんなど、日本代表で活躍する名のある選手たちとも一緒にプレーできて、多くのことを学べました。遠藤さんや今野さんと一緒にできたというのはサッカー選手として本当にうれしいこと。とても濃い期間を過ごさせてもらいました。
―今も交流のある選手は。
もちろんいます。上原力也選手や三浦龍輝選手など、意外とみんなと連絡を取ったり食事に行ったり、うまくいかない時は連絡したりとか、節目でいろいろとあります。大井健太郎さんもいろんな場面で連絡をくれましたし、要所でみんな気にかけてくれているのはすごくうれしいです。