
「使えば便利だということも伝わってほしい」誰でも快適に「UDタクシー」の実態【静岡】

障害者や高齢者、妊娠中の人など誰もが快適に乗ることができるユニバーサルデザインタクシー通称「UDタクシー」をご存じでしょうか。UDタクシーを多くの人に知ってもらおうと、静岡市で利便性を検証する研修会が開かれました。
<社会部 田島かのん記者>
「こちらがUDタクシーです。車いすの方も利用できるようスロープが設置されていて、乗り口も通常より広く作られています」
UDタクシーには、セダンタイプよりも乗り口や車内が広いなどの特徴があります。2月下旬、静岡市内で研修会が開かれ、障害者やタクシー事業者などが利便性を検証しました。
利用に条件がある福祉タクシーや介護タクシーとは違い、UDタクシーは誰でも利用できることから、交通弱者にとって重要な移動手段のひとつになっています。

全国で普及が進んでいて、静岡県タクシー協会によりますと、静岡県内では782台が走っています。2018年と比べると約5.1倍に増えました。
車いすの利用者がUDタクシーに乗るには、スロープを使います。乗務員が一つ一つ手順を確認し、ゆっくり安全に利用者を乗せます。
研修会では、JR静岡駅と会場との間を往復しました。
<車いすを利用する伏見隆次さん>
「結構乗り心地はいいと思う。手すりがある。これを持つことで体が安定できるので、こういうのがあると非常にありがたい」

しかし、静岡県内の法人タクシーは、2月26日の時点で3,967台あることから、UDタクシーの普及率は19.7%にとどまっています。車両の購入価格が通常のタクシーに比べて約1.5倍と高いことが課題です。ほかにも、さまざま課題が研修を通して見えてきました。
<不二タクシー 豊永雅之さん>
「実際やってみると手間がかかってしまったりとか、1人でできないときもあるので時間がかかるかもしれない」
慣れない作業に3人がかりで乗せた例もありました。こうした手間のかかることが気にかかり、現状では乗車をためらってしまう利用者がいるといいます。
<ひまわり事業団 大川速巳さん>
「すごく手間がかかっちゃう。それでみんな1歩引いちゃうってのはあるが、使えば便利だということも伝わってほしい、いろんな人が見て改善が進めば」
障害者や高齢者、妊娠中の人などが安心して利用できるようにしたい。研修会を主催した障害者団体は、UDタクシーの積極的な導入や多くの人の理解を求めていきたいと考えています。
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