スタッド・ランス戦で“非凡な才能”見せたジュビロ磐田の特別指定DF吉村瑠晟(関西大3年)「ピッチで年齢は関係ない」
ジュビロ磐田の特別指定選手、吉村瑠晟(りゅうせい)選手はフランス1部スタッド・ランスとの国際親善試合に左サイドバックとして途中出場し、非凡なプレーを見せました。「自分のドリブルで持ち味を出せた。レベルの高さの基準を知ることができた」と振り返りました。正式加入は再来年となる関西大の3年生ですが、Jリーグ公式戦への出場は可能です。
一問一答
ースタッド・ランス戦でアピールできたか。「デビュー戦で自分の持ち味を出せればいいと思った。最初のワンプレーで自分のドリブルで相手を抜いて持ち味は出せたかなと思う。プロの強豪を相手に、レベルの高さの基準を知ることができた。これからプロに入るまで1年半ぐらいあるので、レベルを高めて。そこの基準を知ったのはほかの人よりアドバンテージになる」
ー再来年に正式加入。特別指定選手だがA契約の基準を満たすぐらいのつもりか。
「大学中にどんどん試合に絡んでスタメンを取る気持ちもある。最近海外では若い選手がビッグクラブのスタメンで活躍している。自分より年下で活躍している選手もいる。
大学生としてではなく、一選手としてほかの選手に勝っていかないと。年齢はピッチに入ったら関係ない。自分の強みを出して上を目指したい」
ーランス戦は守備が印象に残っている。
「DFなのでまず守備が第一。海外の選手と1対1をできる機会はないと思う。自分の良さを出して1対1を止められて自信はついた。自分のところで1対1にさせたら取れる。そういう認識を浸透させられるように、強みを出したい」
ーランスの伊東純也選手とはマッチアップできなかったが、参考になったか。
「伊東選手はサイドの突破が持ち味。それを出すために味方を使う。その駆け引きや球際で取られない強さは見習わないといけない。マッチアップできなかったのは悔しいが、ベンチから近くで見られたのはいい経験になった」
ーランス戦は同じ大学生で来季内定の角昂志郎選手と左サイドで連係した。
「昂志郎君は既にプロデビューしていて僕は初めてだった。試合前は緊張していたので昂志郎君が『緊張せずにどんどんやれよ』と言ってくれた。すんなりと試合に出ていくことができた」
ー角選手もすごいシュートやパスを見せた。
「ああいう1つ1つのプレーで会場を沸かせるようになっていきたい。昂志郎君はチャンスをつくって、シュートも惜しかった。僕はサイドバックとしてチャンスをつくる回数が明らかに少なかった。違いを出してチームを勝たせる選手になりたい」
ー今後は大学と相談して磐田の試合にも出場できそうか。
「関西大の監督と磐田側と決めること。サッカー選手の前に大学生。やることをやってからサッカーに打ち込む。どちらに行くか、自分の与えられた場所でやることをやって輝いていく。いる場所でしっかりレベルアップしたい」
ー勉強面は。
「関西大サッカー部はまずサッカーをやる上で勉強をおろそかにしないのを重視している。勉強もしっかりやり大学でも単位を取っている」
ーゼミでの論文で意識することは。
「経済学部だが、サッカーに関することを論文で書いていきたい。経済とサッカーを絡めてデータを取得したい」
ー選手以外のキャリアは。
「やはり第一はサッカー。将来日本代表や海外に挑戦したい気持ちがある。いまはプロ入りが決まってすぐなので、サッカーを重視する。ただ途中でなにかやりたいことがあれば、平行してやっていきたい」
ー語学は選手としても重要。
「英語はあんまり得意ではない。大学でもやっているが、片言です」
ー紅白戦をやればベルギー出身のジョルディ・クルークスとも対峙(たいじ)する。
「言葉は大事だが、プレーで伝えられることもある」
ー今回の練習参加はいつまでか。
「夏休みの途中までと聞いている」
ー次節8月7日の新潟戦は同じポジションの松原后選手が累積警告で出場停止となる。
「言い方は悪いかもしれないが、僕からしたらアクシデントは自分に回ってきたチャンス。つかめるか、つかめないかで経験できる部分も違う。結果を出していかないと今後使ってもらえない。巡ってきたチャンスはしっかりつかみたい」
ー練習後、横内昭展監督と入念に話していた。
「ランス戦の振り返りみたいな感じ。攻撃で上がってやりきった時とできなかった時の守備に戻るスピード。切り替えのスピードを改善しないといけないという話があった。
1対1で、あの距離まで詰めて対応できたのは良かったと言ってもらえた。レベルが上がると、ちょっと離れただけでいいクロスやシュートを打たれる。レベルが上がってもあのプレーを継続してとアドバイスされた」
ー横内監督は日本代表の基準を知っている。
「横さんは代表の選手も見ている。川島永嗣さんや山田大記さんだったり、ベテランで経験豊富な選手も多い。大学生のうちに若いときに基準を知るのは成長スピードも速まる。それを経験して自分がその基準を関西大に持ち帰って、チームをレベルアップさせる。自分もレベルアップできる」
ー磐田では古川陽介選手や西久保駿介選手の世代になる。
「同世代で陽介は東京V戦で60メートル独走のゴールを決めている。駿介もランス戦でゴラッソを決めている。同世代で結果を残して活躍しているのは、いい刺激になる。いいライバル関係で高め合える」
ー中学、高校とJクラブの下部組織育ちではない。
「中体連とクラブの差は言われている。中体連からプロになれる選手は少ない。そういうところで自分が活躍していけば、全国の中学生に夢を与えられる」
ー磐田を選んだのは。
「一番はスタッフと選手の温かさ。鹿児島キャンプで初めて入った時も温かく迎えてくれた。その分、プレーでも自分を出しやすい。僕も要求できる。話しかけてくれるので。話すことが多くなるので自分のプレーも整理できる。サッカーに集中できる環境だと思った。自分が成長するためにどこがいいかを考えた時にジュビロ磐田だった」
ー松原后選手は越えていくべき高い壁。
「海外経験があり、身長があって左利き。僕と似ている部分もある。ずっと磐田でスタメンで出ている。得点、アシストと結果も残している。いい目標であって后さんを越えていかないと僕も出られない。目標でありいい壁のイメージです」
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