【Jリーグ静岡県勢 今後のキーマンは?】150円の弁当を食べながらJリーガーになる夢をつかんだ選手は…

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「Jリーグ県勢今後のキーマンは?」。先生役は静岡新聞の寺田拓馬運動部専任部長が務めます。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年5月16日放送)

(寺田)中盤戦に入ったJリーグで、現在4チームが激闘を展開しています。今季J1に復帰したジュビロ磐田は16位と苦戦中。一方、J2では清水エスパルスがダントツの首位で、藤枝も順位を上げてきました。J3のアスルクラロ沼津も上位をキープしています。

現在のチーム状況はどうか。我が社が誇る敏腕、各チームの番記者に聞いてきました。

(山田)番記者とは、そのチームに専属で付いて取材をしている方々ですね。

ジュビロ磐田は古川選手の“突き抜け”に期待

(寺田)まず、J1の磐田。4勝2分け8敗で16位(5月16日時点)。16位はJ2降格圏の一歩手前です。

番記者によると、しっかりと後方からつないで相手を崩す場面と、ロングボールを使って割り切る局面を使い分けている印象。J1になんとか食らいついているということです。

ただ、得点ランク首位だったジャーメイン良選手が5月6日の東京V戦でヘディングで得点を挙げたんですが、そのプレーで顔面を骨折してしまった。その穴埋めができるかが最大の課題となっています。足の故障ではないので、そこまで長期の離脱にはならないと思いますが、今後のキーマンに挙がるのが古川陽介選手。

古川陽介選手(左)


(山田)静岡学園高時代に10番をつけていた選手ですね。

(寺田)これまで左サイドを崩して好機をつくっていますが、得点やアシストなど結果に結びついていないので、夏場に向けて突き抜けるのを期待したいです。

(山田)高卒3年目。こういう選手は何かをきっかけにぐーんと伸びることがありますからね。

清水エスパルスは北川選手が“覚醒”

(寺田)次にJ2の清水。ここは好調。12勝1分け2敗(5月16日時点)でダントツの首位です。

番記者によると、昨年までは追加タイムの失点で勝ち点を逃す試合が目立っていましたが、今季は嫌な点の取られ方、崩れ方をせずに、勝ちきることができている。球際の強さ、出足の鋭さで優位に試合を進めている印象です。

今後はこれまで以上に相手が対策してくることが予想されるので、そこをどう崩すかが課題になりそうです。

(山田)ゴールデンウイークに清水の試合を見に行きました。昨年までと雰囲気が違いましたね。

(寺田)選手層やタレントの数で言えば、もともとJ1のレベルにありますからね。

(山田)エスパルスのサポーターは「これを去年からやってくれていれば」と言ってましたね(笑)

(寺田)今後のキーマンには、北川航也選手を挙げていました。北川選手は静岡市出身の27歳。清水ユースから2015年にトップチームに昇格し、オーストリア1部リーグでも活躍して、昨年6月に清水に戻ってきました。日本代表でも8試合に出場しています。

現在好調を維持していて得点ランクトップタイ。体のキレ、ボールタッチがさえていて、今後も得点源であることは間違いないということです。

北川航也選手(右)


(山田)地元の選手で、応援している方はたくさんいますよね。

(寺田)もう一人、ディフェンダーの原輝綺選手。年代別代表の経験を持っていて、スイスでもプレーした25歳です。相手の隙を突くポジショニングや攻撃参加のタイミングが抜群で、守備面ももちろん安定している。今後の戦術の幅を広げるキーマンになりそうだということです。

(山田)清水は高校生の西原源樹選手も出てきました。

アスルクラロ沼津はゴン監督のスタイルが浸透

(寺田)私が担当している藤枝MYFCは後回しにさせていただき、後ほどたっぷりと。

J3のアスルクラロ沼津は6勝3分け4敗で2位(5月16日時点)。ゴンさん、中山雅史監督2年目で好調です。

番記者によると、失点しても逆転勝利に持ち込める粘り強さと、ハードな練習で培ったフィジカルの強さがあるとのことです。

(山田)まさにゴンさんのサッカーが浸透してきているんですね。

(寺田)斎藤学、川又堅碁といったベテラン選手に加えて大卒ルーキーも躍動し、選手層に厚みが出てきたそうです。

(山田)川又選手は先日結婚しましたし、ノッてますね。

和田育選手(左)


(寺田)ただ、リーグ戦中盤に入って勝てない試合が続いています。先制を許した後、引いて守りを固める相手をうまく崩せていない印象があるそうです。

キーマンには和田育(はぐみ)選手が挙がりました。月間MVPにも選ばれたチーム内得点王。裏への抜け出しが武器でさらなる得点に期待が掛かります。

もう一人、DFの宮脇茂夫選手にも期待。FC大阪戦の終了間際に直接FKを左足でたたき込みました。シュートシーンは「まるでロベカル(かつてのブラジル代表DF)」と話題になったレフティーです。

藤枝MYFCは「昨年より確実に強くなっている」

(寺田)私が担当するJ2の藤枝MYFCは6勝2分け7敗で12位(5月16日時点)。一時はビリから2番目の19位まで落ちましたが、最近は4連勝したりして勢いが出てきました。

圧倒的にボールを支配する超攻撃的スタイルを掲げて今季スタートしましたが、2年目のジンクスで対戦相手の分析に苦しみました。

6戦勝ちなしとトンネルの中にいた時、須藤監督と雑談で手押し相撲の例え話をしたことがありました。押し続けても勝てない。相手のバランスを崩すために、引いたり、いなしたりすることが大切になる。

その後は足元のパスをつなぐだけではなく長いボールも織り交ぜたり、守備を固めて耐えたり。そうすることで後半勝負ができるようになり、逆転勝ちや終盤のゴールにつながるようになりました。

須藤監督は「『圧倒的に攻め続ける』という言葉のチョイスが間違っていた。相手の時間帯は耐えることも重要」と最近はおっしゃっています。

藤枝MYFCの須藤監督(左)


(山田)寺田さんの一言で藤枝が変わった、かもしれないと(笑)

(寺田)いやいや、雑談の中で(笑)

(山田)昇格2年目で手の内がばれてきたところで、また須藤監督の新しいサッカーが生まれようとしている。トンネルを抜けたから、これから楽しみですね。

(寺田)攻撃の幅が広がっているので、確実に昨年よりも強くなっていると思います。

藤枝の西矢選手はハングリー精神の塊

(寺田)藤枝のキーマンは兵庫県出身の24歳、ボランチの西矢健人選手。反骨心をバネにJFLからJ3、J2とステップアップしてきて、今は藤枝でただ一人、開幕から全試合フルタイム出場を続けています。完全にチームの柱です。

この西矢選手、ハングリーさがすごいんですよ。ヴィッセル神戸の下部組織出身ですが、高校でユースに上がることができず、明治大学では3年までセカンドチーム。4年でトップチームに上がりましたが、完全なレギュラーとはいかず、一般の学生と一緒に就職活動して、内定も得ていたそうです。

それでも、夢をあきらめず当時J3の下のJFLのチームに入って、午前中に練習が終わると毎日格安スーパーの150円の弁当を買って食べて、午後から工場に出勤して時給制で働いていたそうです。

西矢健人選手


(山田)えーー。夢をつかんでますね。

(寺田)400円の弁当を買うと、「今日は奮発したな」って思ったそうです。サッカーに対してひたむきで、サッカーができる喜びを感じている選手。若い選手の手本になっています。「次は藤枝でJ1に上がりたい」ってチーム愛を示しているので応援したくなっちゃいますね。

(山田)西矢選手の背番号は?

(寺田)26番です。ぜひ注目してください。

(山田)県勢の4チーム、これからの後半戦に向けてチェックしてみてください。今日の勉強はこれでおしまい!
シズサカ シズサカ

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