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“テクニシャン集団”静岡学園は4年ぶりの頂点にたどり着けるのか。第102回全国高校サッカー選手権・注目ポイントは?


第102回全国高校サッカー選手権は28日開幕する。2年ぶり14度目の出場となる静岡学園は1回戦から登場し、29日午後12時5分から、浦和駒場スタジアムで、3年ぶり9度目出場の明徳義塾(高知)と対戦する。

静岡学園はプレミアリーグ勢がひしめく超激戦ブロックに入ったが、4年ぶりの頂点は射程圏内だ。Jクラブ内定者3人を擁するテクニシャン集団は夢の頂きにたどりつけるのか。戦いを展望した。

明徳義塾のセットプレー警戒


静岡学園の川口修監督がフォーカスするのは明徳義塾との初戦だ。「ここでいかに勢いをつけられるか。初戦に100%のモチベーションを持っていきたい」

指揮官の脳裏にあるのは、優勝候補に挙がりながら初戦敗退した夏の全国総体。この時、静岡学園を撃破して勢いに乗った明秀日立(茨城)はそのまま一気に初の頂点まで駆け上がった。静岡学園のGK中村圭佑主将は「初戦の大切さを再認識させられた」と振り返る。

初戦の相手、明徳義塾は2015年度に8強入りした実績がある。ことしは高知県大会の決勝で0−2から逆転勝ち。コーナーキックからの2点と、PKの2点で試合をひっくり返した勝負強さが光る。静岡学園の守備陣は相手のセットプレーに最大の警戒が必要だ。

圧倒的にボールを支配しながらゴール前を固める相手を崩しきれず、カウンターでワンチャンスをものにされたり、PK戦に持ち込まれたり…。そんな静岡学園の典型的な負けパターンは避けたい。

力関係からすれば、静岡学園がボールを支配することはできそう。焦点は、無得点のまま時計の針が進んでも焦らずにゴールをこじ開けることができるかどうか。早めに先制点を奪えば、ゴールラッシュも期待できる。アタッカー陣が波に乗る勝ち方が理想的だ。

3回戦は青森山田か

2019年度、静岡学園は決勝で青森山田を下し、初の単独優勝を成し遂げた=埼玉スタジアム


2回戦の相手は早稲田実(東京B)と広島国際学院(広島)の勝者。順当に行けば、3回戦はプレミアリーグ優勝で高校年代日本一になった青森山田と激突する。挑戦者の立ち位置になるが、静岡学園もプレミアリーグWESTで最後まで優勝争いに絡んだ実績がある。必要以上に相手をリスペクトする必要はないだろう。真っ向勝負を挑み、4年前の決勝のように高校サッカー界の王者を力でねじ伏せる光景が見たい。

激戦ブロックだけに、青森山田との大一番を乗り越えたとしても簡単に視界は開けそうにない。準々決勝は昌平(埼玉)や米子北(鳥取)、大津(熊本)のプレミアリーグ勢が集まったブロックを勝ち抜いてきたチームとの対戦となる。ここを突破して国立切符を手に入れた時、初めて頂点が見えてくる。

川崎入団内定のエース神田がけがから復帰

全国選手権前最後の対外試合で軽快な動きを見せた神田奏真


静岡学園はU-18日本代表のGK中村圭佑が東京ヴェルディ、同じくU-18日本代表のFW神田奏真が川崎フロンターレ、静岡県選抜のMF高田優が徳島ヴォルティスに入団する。タレントは豊富だ。

とりわけ注目を集めるのは、両足の疲労骨折で県予選に出場できなかったエース神田。部員数約200人の静岡学園で1年時からAチーム入りしてきたストライカーは鋭い得点感覚を武器にする。コンディションをどこまで上げられるかは気がかりだが、公式戦で神田に久々のゴールが生まれれば、チームは一気に活気づく。

左利きのテクニシャン高田優はトップ下もしくは中盤右サイドに入りそう。Jリーグ入りする高田と神田の2人を中心とした攻撃の破壊力は高校年代ではトップレベルだろう。即興的なパスワークで観衆を魅了し、スタジアム全体を味方につけたい。

攻守の切り替え、4年前の再現を

先発メンバーは流動的だ。中盤の要だった大型ボランチ福地瑠伊が夏に右膝を痛めて長期離脱。川口監督は穴埋め探しに苦心してきたが、庄大空や大村海心ら候補はずらりと並ぶ。選手層の厚さは大会屈指。県大会以降、指揮官はチーム内競争をあおり続けていて、大会直前までアピール合戦が続くだろう。

攻撃力については、松村優太(鹿島アントラーズ)らを擁して全国制覇した4年前のチームと比べても見劣りしない。川口監督が懸念するのは、けが人が続出してチーム作りのプランが崩れたことと、守備の強度が物足りないこと。

4年前のチームは、ボールを奪われてもすぐに相手を取り囲んで奪い返す素早い攻守の切り替えが生命線だった。強度の高い守備が攻撃力を倍増させていた。「あの時の強度を意識させているが、まだまだ」と川口監督の要求は高い。初戦までに最後のピースを埋めることができるか。

素早い攻守の切り替えを武器に頂点に立った4年前の静岡学園=埼玉スタジアム

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