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静岡新聞教育文化部

【開催中止】音楽フェス『頂―ITADAKI―』参戦歴15年の私が“絶対に”ステージ前で見るだろう1日目のアーティスト3選

台風2号の影響により「頂―ITADAKI―」は中止となりました。(頂―ITADAKI―2023 開催中止のお知らせ」(公式サイト)/2023年6月2日

「頂―ITADAKI―」1日目に出演する私のイチオシ

2016年6月4日の「頂」。2016年6月5日付静岡新聞から


静岡新聞きっての“フェス好き”、編集局教育文化部の橋爪充です。

さあ、今年も6月3日に吉田町で「頂―ITADAKI―」が開幕します。あと1週間。「早く当日にならないかな」という気持ちと、「もしかしたら、このわくわくしているこの時期が一番楽しいのかもしれない」という気持ちがこんがらがっています。今。

私は2009年から、毎年「頂」を見ています。年によって、仕事だったりそうじゃなかったり。必ずチケットを買って入っています。ビールやジントニックを浴びて、たいてい会場で1泊しています。楽しいですね、頂。

2022年「頂」の会場風景。2022年6月5日付静岡新聞から

今回、コンテンツとして「2日間に出演する好きなアーティストについて書いてくれ」というオファーをもらいました。過去に見たことがある人、ない人、いろいろいらっしゃいますが、個人的に「絶対にステージ前で見るだろう」と思っている出演者を各日3組ずつ、挙げます。過去に書いた記事を一部援用します。

1. リーガルリリー


「頂」だけじゃなく、音楽フェスというのは、特別な演奏が聞ける祝祭空間であるのと同時に、新しい音楽との出会いの場でもありますね。通りすがりに聞こえた音楽に、グッと耳を奪われてすっかり好きになる。そんなこと、よくありますよね。
 
「頂」の場合、特にそれが顕著。去年だったらHomecomings。映画「愛がなんだ」のテーマ曲を知ってはいたんですが、「こんなに野外フェスが似合うバンドだったんだ!」と驚きでした。決して音数は多くないんだけど、すごくタイトな演奏で甘くなり過ぎない。

2017年のキャンドルタイムに出演して、すごい強風に見舞われたのに、その音や環境すらも自分の音楽にとりこんでしまうアン・サリーも印象的。2014年の夜中のムーンステージでみたPredawnも当時、まったく知らなかったけれど、真っ暗闇の客席をほんのりとした光で包み込むような歌声に、ただただ感動したものでした。

考えてみたら、みんな女性の歌声ですね。頂のステージや雰囲気と、相性がいいのかもしれない。前置きが長くなったけれど、そういう意味でことし、トリコになりそうな予感がするのが「リーガルリリー」です。

もちろん、ライヴを見るのは初めて。でも、すでに音源に魅了されています。「たたかわないらいおん」の1980年代ニューウェーブを感じさせるクリアなトーンのギターの音を聞いたとき、「2020年代に女性3人組がこのサウンドか!」と、驚きでいっぱいでした。

「惑星トラッシュ」はスマッシング・パンプキンズをほうふつとさせるし、アルバムを聴いたら、シューゲイザーっぽい曲もあるし。この方たちは、どこでこんな音を覚えてきたんだろう、と不思議でなりません。めちゃくちゃカッコいいです。
 

ギター・ボーカルのたかはしほのかさんの、天空に伸びていくような歌声。駿河湾からの心地よい風の中で、あの声がどう聴こえるんでしょうか。

2. 青葉市子


「頂」には2016年に出ている青葉市子さん。この時はキャンプサイトのムーンステージでの演奏でしたね。私、恥ずかしながらこのステージを目撃していない。でも、2019年に県内のほかのフェスティバルで出演を見ました。その1カ月前ぐらいに仕事でインタビューも敢行。とても聡明な方でした。
 

多種多様な弦楽器やオルガン、ピアノの音が入った新境地のアルバム「アダンの風」の発表直後だったのですが、複雑な収録曲を、クラシックギター1本で再現していて感心しました。

「音楽家としてとても能力が高いんだな」という印象。静かな伴奏から透明感のある歌がスッと立ち上がって客席を覆う、というイメージを持ちました。

2022年「頂」のキャンドルステージ

今回は初日のキャンドルステージに登場します。青葉さん、ああ見えて(失礼!)ステージでよくしゃべるんですよ。あの美しいステージについてもいろいろ話をするんだろうな。どんな言葉を口にしてくれるのか。演奏はもちろんですが、青葉さんのキャンドルステージへの感想も楽しみなのです。

3. GOMA&THE JUNGLE RHYTHM SECTION


オーストラリア先住民アボリジニの管楽器「ディジュリドゥ」の使い手であるGOMAさんは、交通事故で高次脳機能障害に陥った2010年を除き、毎年「頂」に出ています。前に、どこかで書きましたが、「常連」という言葉をはるかに超越した存在。GOMAさんは、渋さ知らズオーケストラと並び、「頂」の風景の一部だと言えるでしょう。

GOMAさんと言えば、なんとなく2日目の夕方に出ている印象が強いですね。吉田公園の芝生広場のあちこちで寝そべっていた人たちが、打楽器3人衆の音が鳴ったとたんにむくりと起き上って、ワーッとステージに駆け寄るんです。これぞ祝祭だ。そう感じさせます。

ミニマムで強度の高いビートにのせて、のたうち回るディジュリドゥの轟音。楽曲のシンプルな構造が、高揚感をあおります。これは、一つの音楽的〝発明〟です。
 

「頂は楽しいね」「頂は雰囲気がいいね」。お客さんは口々に言います。でも、どうして楽しいんだろう。なぜ、雰囲気がいいんだろう。正直、分かりません。説明するのは野暮だとも感じます。

でも、2018年の会場で気が付きました。答えがほしいなら、GOMA& JRSのステージを見ればいいんです。言葉にならない答えが放射されています。
 

私はいつも、彼のステージを見ながら、過去の「頂」を思い出しています。日本平の芝生の傾斜、倒れたティピィ、倒れ込むような客席ダイブ…。まるで我が事のようです。

「頂」のファンは、みんな同じ感覚ではないでしょうか。GOMA&JRSのステージは、自分の生存確認の場でもあるのです。「生きてて良かった」を共有できる演奏。今年も祝祭空間の幕開けが楽しみです。

<DATA>
頂―ITADAKI―
開催日:2023年6月3日(土)- 4日(日)
会場:吉田公園特設ステージ(静岡県榛原郡吉田町川尻4036-2)

静岡新聞教育文化部

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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