
住宅の耐震補強で命を守る!市町の無料診断、補助金も
100〜150年周期で発生する南海トラフ巨大地震
南海トラフ地震はいつ起きてもおかしくないと言われています。今回は、建物の耐震診断と耐震補強工事について、公益社団法人静岡県建築士会 広報情報委員の中野年浩さんに、SBSアナウンサー近江由佳がお話をうかがいました。
近江:2023年5月5日に発生した石川県を震源とする最大震度6強の地震では、家屋の倒壊もありましたね。
中野:報道で見た限りでは、全壊や半壊、倒壊していなくても大きく傾いて、応急危険度判定で「危険」を示す赤い紙が貼り付けられていた住宅もありました。赤い紙は、余震などで二次被害の可能性があり、立ち入りが危険な住宅に貼り付けられます。「要注意」の黄色い紙を貼られた住宅と合わせると、数百棟に及ぶと聞いています。
近江:やはり、古い木造住宅は耐震性に問題があることが多いですか?
中野:一概に「築何年だから危険ですよ」ということではないと思います。重い屋根の住宅や、1階部分に耐力要素である壁が少ない2階建て住宅は危険性が高いです。大きな地震があった後などに建築の法令が改正され、建築基準が厳しくなるので、1981(昭和56)年の法改正前に建てられたのか、後に建てられたのかがひとつの目安になると思います。
無料の「わが家の専門家診断」 全国でもさまざまな制度が
近江:築年数の古い住宅に住んでいる場合、どうしたらよいですか?中野:住まいがどの程度の耐震要素を保持しているか、自身で知ることが大切です。知り合いに建築士や建築業者がいれば、調査してもらうとよいと思います。また、1981(昭和56)年5月以前に建てられた木造住宅については、静岡県と各市町が「TOUKAI-0」という事業で「わが家の専門家診断」を無料で行っています。
近江:無料で耐震診断ができるんですね。
中野:静岡県耐震診断補強相談士が無料で調査して、現在の状況を説明してくれます。現時点で「わが家の専門家診断」は2024(令和6)年度までの予定です。
近江:全国でも同様の取り組みはありますか?
中野:取り組みの中身は違うと思いますが、全国各市町村の耐震相談窓口で条件に当てはまれば申し込むことができます。耐震補強した家に住むということは、自身の命を守るということに直結します。高齢者の場合は、家族などが代わりに申し込むこともできると思いますので、各市町村で相談してもらえればと思います。
近江:静岡県は南海トラフ地震がいつ来てもおかしくないと言われています。地震に強い住宅、地震に強い街にしておくためには、どのような備えが必要ですか?
中野:南海トラフ地震は100年から150年の周期で発生しています。住宅の耐震化、家具を固定するなどの対策が大切です。ブロック塀が道路に倒れてしまうと救急車が入って来られないこともありますので、撤去して軽いフェンスなどに変えるなど、地域全体で防災意識を高めていくことが大切です。
※静岡県「TOUKAI-0」の事業では、耐震補強工事に補助金を交付する制度があり、静岡市の場合、上限100万円の補助を受けることができます。現時点で補助制度は2025(令和7)年度までの予定です。
今回お話をうかがったのは……中野年浩さん
公益社団法人静岡県建築士会 広報情報委員。
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