
狭い路地、地域で守る「自衛消防隊」

空気が乾燥し、火災が起こりやすくなるこの時期。家庭での備えが欠かせない一方で、2025年に相次いだモバイルバッテリーの火災にも、引き続き注意が必要です。
12月7日、静岡県内各地で行われた地域防災訓練。静岡市駿河区の小鹿地区では、がれきからの救出活動や可搬式ポンプを使った放水体験、消火器による初期消火訓練が行われました。
<参加者>
Q. 消火器は難しかった?
「難しくはない。思ったよりも結構簡単だった」」
<参加者>
「普段は気にしていないので、準備はしておかないといけないなと思う」
小鹿地区は住宅が密集し、道が細く入り組んでいるため、大型の消防車の進入が難しく、自主防災会の中に「自衛消防隊」を作って大規模火災に備えています。
<小鹿自主防災会 佐野欣弥会長>
「火事というのは意識としては地震よりは多少低くなるかもしれない。毎年同じことの繰り返しになるかもしれませんが、地道に伝えていければ」
「10年で寿命」火災警報器の落とし穴
2025年11月、大分市の佐賀関地区を襲った火災では、187棟が被害を受け約5万平方メートルが消失しました。空気が乾燥する冬に増える火災。2024年に全国で発生した火災のうち、1月と12月だけで全体の2割を占めています。(年間37141件 1月3761件、12月3772件)

火事をいち早く気づき、延焼を防いでくれるのが「住宅用火災警報器」ですが、実は「10年」で寿命を迎えることをご存じでしょうか。
2011年に全ての住宅で設置が義務となった火災警報器。消防庁の調査によると、正しく設置しているのは静岡県内で7割ほど(71.0%)ですが、警報器の寿命の認知度は3割ほど(30.1%)と低く、役に立たないまま設置しているケースもあります。
<日興電気通信施設営業部 山口純市課長>
「家庭用の感知器(警報器)については電池で実際に動いているので、時間が経てば、もちろん電池は消耗してくる。その期限が10年ということが言われているので、財産を守るものになるので、注意して各家庭でチェックしていただければ」
モバイルバッテリーは「PSEマーク」の確認を

一方、2025年に関心が高まったのが「モバイルバッテリー」の火災です。 NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)によると、モバイルバッテリーを含むリチウムイオン電池を使う製品の火災は、2024年までの5年間で1587件発生しています。
電池が高温になる夏に発生するイメージがありますが、冬も油断はできません。
<静岡市消防局予防課 稲葉芳之火災調査係長>
「冬場も暖房器具、例えばファンヒーター、ストーブの前にモバイルバッテリーみたいな、リチウムイオン電池を置いておけば熱せられますので、同じように熱くなってくれば異常をきたす。ジェット噴射のように噴出して勢いよく炎が飛び出すので十分注意していただければ」
リチウムイオン電池の火災は、製品の劣化や品質の低い海外製品の流通も増加の一因です。静岡市消防局では製品を買う際、国の安全基準を満たしたことを示す「PSEマーク」があるかをチェックしてほしいとしています。

<稲葉火災調査係長>
「こちらにPSEマークがある。これが安全基準をひとつ満たす基準になっている。インターネットで買う際などにはPSEマークを参考にご購入いただければ」
意外とやりがちな「こたつ」や「カイロ」も要注意
冬場に意外とやってしまいがちなのが、ズボンのポケットにカイロと一緒にスマートフォンを入れたり、ポケットに入れたまま「こたつ」に入ったりすること。これらもバッテリーが加熱され危険です。
モバイルバッテリーが発火した時は、すぐに消火器や水で消火し、消えた後もしばらく水に沈めて再発火を防ぐことが重要です。スキーやキャンプなど氷点下になる場所での使用も、中の電解液が凍ってしまう可能性があるため注意が必要です。
また、静岡市では2026年1月から電池類の捨て方が変わります。故障の有無にかかわらず、すべて「不燃・粗大ごみ」として回収することになります。
燃えるゴミに混入するとゴミ収集車や処理場での火災につながるため、ルールの徹底が求められます。






































































