「子どもの写真を撮らせてもらえていたのは兄だけ」アフガニスタンで伊藤和也さんが凶弾に倒れて17年 弟が初めて語った葛藤と決意

アフガニスタンで農業支援の活動中に静岡県掛川市出身の伊藤和也さんが武装勢力に殺害された事件から17年。

菊川市で11月29日、伊藤さんの弟が初めて公の場で思いを語りました。

<伊藤和也さんの弟 白井佑介さん>
「実は私は兄のことが嫌いでした。嫌いというと語弊があるので、言い換えると男兄弟として。思春期の弟の立場として。勝手にライバルと思っていて」

菊川文化会館アエルで、思春期に抱えていた兄への思いを語る白井佑介さん。その兄、伊藤和也さんは、アフガニスタンで命を奪われました。

アフガニスタンの復興を支援する団体「ペシャワール会」のスタッフとして農業支援に従事していた伊藤和也さん。2008年8月、活動中に現地の武装グループにより拉致されたのち、31歳の若さで殺害されました。

<伊藤和也さんの弟 白井さん>
「父から『お兄ちゃんダメだった』と言われその瞬間からすべてが変わっていきました」

11月29日、貧困に苦しむアフガニスタンで30年にわたってかんがいや医療支援に取り組んできた医師・中村哲さんの映画上映会と講演会が開かれ、白井さんが登壇しました。公の場で、兄・和也さんについて語るのは初めてです。

<伊藤和也さんの弟 白井さん>
「親より先に死ぬなんて。家族を大切にしろよ。自分の子どもたちとも遊んでほしかったです」

人のための仕事がしたい、兄と同じ道を今、歩んでいます。

凶弾に倒れて17年も、「選択に影響及ぼした存在」

<伊藤和也さんの弟 白井さん>
「このように子どもの写真を撮らせてもらえていたのは兄だけだったそうです。それだけ村の中に溶け込み、受け入れられたそうです。写真の中の子どもたちの無邪気な笑顔やワーカーの方の現地での話を聞く中で幸せって何だろう。自分も兄のような人のための仕事、笑顔を届けられる仕事がしたいと考えるようになった。その思いをかなえるため農業の道を進む決意をしました」

凶弾に倒れてから17年。和也さんの存在は変わらないままです。

<伊藤和也さんの弟 白井佑介さん>
「自分の人生を決める上で兄としても、ペシャワール会の伊藤和也としても、どちらも自分がここにいるというところでは大きな影響を受けていると思うので、自分がここに来るまでしてきた選択に影響及ぼした存在であるのは間違いないと思います」

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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