
静岡市出身のアニメーション作家・村本咲さん。静岡県内でも馴染みの深い、ある場所を描いた作品が世界の映画祭で評価されています。
2024年制作の「パーキングエリアの夜」。作品は、真夜中のパーキングエリアで旅に疲れた人々がそれぞれ静かに心を癒やすひと時を描いたものです。
この作品を制作したのは、静岡市出身のアニメーション作家・村本咲さん。ブルガリアやフランスなど世界各国の映画祭で受賞しました。さらに、資格を得るのには高いハードルがあるとされている「米アカデミー賞」への応募資格も獲得しています。
<村本咲さん>
「これ自分は面白いと思ってるけど、人はどう思うかっていうのが分からなかったので、海外の人にも伝わったというのがうれしいですね」
キャラクターの動きを付けるには、1秒間に約12枚の原画が必要です。
<村本さん>
「1コマずつしか進まないから、果てしなくて、1秒作るのに。うまく行った時は、すごくうれしいですね。わあ動いた!という感じで」
村本さんは高校を卒業後、美術大学に進学。さらに東京芸術大学大学院でアニメーションを学びました。作品を描くのに使うのは、硬さの違う鉛筆。HBから8Bまで、黒一色で作品の濃淡を表現します。
<LIVEしずおか 杉本真子キャスター>
「村本さんの手元にあるのは、自動販売機ですよね?」
<村本さん>
「これは背景の絵なんですけど、こうやってパーツごとに書いていて、これは地面で、これは山で」
これらのパーツを最終的に、パソコンで組み合わせます。
<杉本キャスター>
「重ねるとぴったり合うんですね。本当に背景が浮かびあがってくるような感じですね」
<村本さん>
「位置を調節したりとか、色をパーツごとに変えたりとかしたいので、キャラクターが背景に前後したりする場合があるので、パーツで分けて書いています」
絵を描く原点は幼い頃に好きだったアニメーションや絵本の動物たち。村本さんが描く作品には、小さな動物たちが登場します。
<村本さん>
「人間を書くってなると、性別とか、年齢とか、国籍とか、そういうのを書かざるを得なくなってくるので、それが必要ないなと思った時は、動物の力を借りています。親しみやすいフォルムになるので、スッと感情移入しやすいかなと思って」
見た人それぞれの発想で、自由に作品を楽しむことができます。
11分間の作品を作るのにかけた時間は約2年。最後に、作品を作り続けるうえで村本さんが大切にしていることを聞きました。
<村本さん>
「作ることを楽しむです。ただただ作ることを楽しんでいく人生がいいな~って。いろんな魔法みたいな感じで。動かないものが動くので。これからも見たいし、自分が見た事ないものを見たいな、作りたいなっていう気持ちです。見た後に、日常がちょっと楽しくなるような作品が出来たらいいなと思って毎回作っています」