
静岡県は6月11日、南海トラフ地震の新たな被害想定づくりに着手しました。2025年3月、国が新たな想定を発表したことを受け、県内の実状に合った、より詳しいものを県独自で作ることになります。
南海トラフ地震の静岡県独自の新たな被害想定づくりに向けた11日の会議には、県の危機管理監や各部局の幹部など18人が出席しました。県独自の被害想定は現在、2013年に定められた第4次想定が使われています。
10年以上が経過し、社会情勢が変化しているうえ、2025年3月には国の被害想定が13年ぶりに見直されました。国の想定では、南海トラフ地震による静岡県内の死者は、最悪の場合約10万3000人とされました。しかし、この想定は県が進めてきた防潮堤の整備効果や防災教育の成果などが「十分に反映されていない」内容となっていました。
<静岡県 酒井浩行危機管理監>
「(国の想定は)全国的なマクロな考え方での想定だった」
静岡県の新たな想定では、客観的な根拠がある場合、地域ごとに具体的な被害予測を行うとしています。一方、想定震源域で時間差で地震が発生するいわゆる「半割れ」や災害関連死など、国が新たに加えた指標について、県は「まだ評価する段階にない」としています。
国のデータをそのまま用いるのか、県独自に数値化するのか、今後、検討していく方針です。
<酒井危機管理監>
「住民の避難意識も、国は20%と非常に低い数字をもって想定を行っているが、静岡県では様々な取り組みの中で住民の意識も高いという評価をしているので、そういうことを踏まえて、想定のほうをやって参りたい」
静岡県は7月から、医療や被災者支援などの分野ごとに県の職員によるワーキンググループを設置します。「県防災・原子力学術会議」の有識者の助言を取り入れ、2026年度中には、第5次被害想定を公表する予定です。