岐路に立たされた日韓W杯キャンプ地 宿泊施設はすべて相部屋で「現代のニーズに合わない」行政は運営見直しへ【静岡】

プロスポーツの合宿所としても利用されている静岡市の清水ナショナルトレーニングセンターをめぐる問題。施設は老朽化に加え、「現代のニーズに合わない」などと指摘されているほか、大幅な赤字となっています。静岡市は、こうした状況から脱却するため、運営の見直しに踏み切りました。

<静岡県政・静岡市政担当 植田麻瑚記者>
「清水いはらICからほど近い清水ナショナルトレーニングセンターです。天然芝と人工芝のグラウンドがそれぞれ2面ずつあり、アマチュアからプロまで多くの人に親しまれています」

高品質な天然芝が売りの清水ナショナルトレーニングセンター。全国レベルの大会にも対応できるこの場所が、今、岐路に立たされています。難波喬司静岡市長は2025年3月、運営の見直しを行うと明らかにしました。

<静岡市難波喬司市長>
「施設の利用環境の改善を図るとともに、収益性を高めて市の財政負担を軽減するという施設環境の改善と収益性の両面からの見直しを行うことにした」

2001年、旧清水市(現静岡市)がサッカーなどさまざまなスポーツでの利用を目的に、60億円をかけて整備したこの施設。2002年の日韓ワールドカップでは、ロシア代表が合宿を行うなど、プロスポーツの練習場所としても活用されています。しかし、開館から24年が経ち、老朽化が目立つとともに、今、ある課題が浮き彫りとなっています。

<静岡市スポーツ振興課 池田佳隆施設担当課長>
「こちらが宿泊部屋になります」
<植田記者>
「ツインルームなんですね」
<池田担当課長>
「ツインルームと複数人で泊まれる部屋のみとなっています」

施設には、計88人が宿泊可能ですが、いずれも相部屋で、シングルルームはありません。プライバシーが保てない環境は「現代の利用者のニーズに合わない」と指摘されているのです。さらに…

<池田担当課長>
「1億8000万円程度の支出が出ている。このまま永久に、それを出し続けるのはいかがなものかというのが市長の考え方」

現在、運営は外郭団体のまちづくり公社が担っています。施設の運営費は年間で約3億円。しかし、1億2000万円程度の収入となっているため、市が、残りの1億8000万円を指定管理料として支払っている状況です。

このままでは将来にわたり、行政負担が伴うとして、市は、施設の利用環境を改善して収益を高めようと運営を見直し、民間事業者の公募を行うと発表しました。

<池田担当課長>
「プロの方々の利用がある、価値のある施設にはしていきたいし、その方々だけが使うのではなく、当然市民の方々も利益を享受できる施設にしていきたい」

<LIVEしずおか 杉本真子キャスター>
「地元では「トレセン」として親しまれていますが、どのような見直しが検討されているのでしょうか」

<植田記者>
「宿泊部屋のほか、サッカーグラウンドも見直しが求められています。天然芝のグラウンドは人気が高いのですが、芝生の張り替え作業により1年のうち4か月間、利用ができません。

その間、収益がない状態が続くわけです。難波市長は新たなグラウンドを整備するほか、最新のトレーニング設備の導入、ホテルの建設などを目指すとしています。

市は現在、民間事業者から見直し案を募っていて、秋までに運営方法を決定したいということです。こうした1つ1つの事業が市政の変革につながるか、注目です」

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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