静岡茶市場では4月18日、新茶の初取引が行われました。リーフ茶の消費量が減ったうえ、荒茶の生産量でも鹿児島に首位を奪われ、正念場を迎えた静岡県内の茶業界にとって、関係者は世界的な抹茶ブームに大きな期待を寄せています。
18日、静岡市の静岡茶市場で行われた新茶の初取引には、静岡県内の茶業関係者など約500人が集まりました。2024年の夏の高温や秋ごろの雨不足などが生育に影響し、初日の取引量は528.5キロとやや少なめでした。
それでも、静岡市清水区で栽培された高級ブランド茶「高嶺の香」には、1キロあたり88万円の最高値がつきました。
<最高値の新茶を買い取った和田長治商店 和田夏樹社長>
「お茶屋さんにとって、『8』という数字が末広がりで縁起のいい数字となっている。なので今年は『88』という数字をつけた」
若者のお茶離れなどから、世帯ごとの年間のリーフ茶の消費量は年々、右肩下がり。茶業界を取り巻く環境は、一段と厳しさを増しています。
そうした中、明るい話題も。全国的に巻き起こっている空前の「抹茶ブーム」です。静岡市葵区のお茶カフェでは、静岡県内産の抹茶を使ったスイーツを提供しています。海外での抹茶人気も影響し、ここ数年、抹茶スイーツを求めるインバウンド客が急増していて、このほど、店内の抹茶コーナーを拡大させました。
<茶町KINZABURO 前田冨佐男社長>
「抹茶という新たなカフェインを含むテイストが現れたことによって、海外の人にとっては非常にインパクトがあったんじゃないかなと。それがいま爆発的に人気になっている要因じゃないか。インバウンドの方に限らず、全国の方に知っていただいて、総合的な抹茶のプロデュースみたいなものを発信していけたら」
広がる抹茶ブームに生産者も期待を寄せています。
<清照由苑 鈴木照美代表>
「ここは当園の抹茶を作る畑の碾茶畑になります」
鈴木さんは、17年前から静岡市清水区で抹茶の原料となる碾茶を栽培しています。現在の生産量は年間10キロほどですが、抹茶需要の高まりから生産量を増やしていきたい考えです。
<鈴木代表>
「抹茶がブームになるということはとてもうれしい。静岡でも抹茶ができると全国・世界に広がれば、静岡のお茶はもっとPRできるのかなと思う」
荒茶の生産量で鹿児島に首位を奪われた静岡。「茶の都」を盛り上げる大きな力として抹茶への期待が高まっています。