
SBSラジオの静岡サッカー熱血応援番組「ヒデとキトーのFooTALK!」に、元日本代表で清水エスパルスなどでもプレーした太田宏介さんをお招きしました。パーソナリティのペナルティ・ヒデさんと鬼頭里枝さんがオンラインで話を聞きました(2025年7月22日放送)
(ヒデ)全国でも珍しい形のスポーツ教室を始めたんですよね。ちょっと説明をお願いします。
(太田)現役のラストシーズン、2023年の夏から始めました。僕は元々経済的に恵まれていない苦しい環境で育ち、例えば地域で行われるプロ選手のサッカー教室や習い事に行きたくても行けないことがすごく多かったんですね。進学する際にもたくさんの方に金銭的な援助をしていただいたりしました。
なので、同じような境遇にある子や学校に通えない不登校の子、障害を持っていてなかなか健常者の人たちと一緒にスポーツができない子たちなど、いろいろな子どもたちが誰でも参加できるようなスポーツ教室を作りたいと思ってスタートしました。
(ヒデ)スポーツ教室の名前は?

(太田)「ジョガスポーツカレッジ」といいます。「ジョガ」はポルトガル語で、英語でいうと「プレイ」。子どもたちにいろんな体験をしてほしいという思いが込められています。
子どもたちにはサッカーだけでなく、いろんなスポーツを体験してもらいたい。今はサッカー中心の活動ではあるんですが、これからはアスリートの横のつながりを利用して、全国のいろんな背景を持ってる子どもたちがいろんなスポーツに携わる機会を作ってあげたいなと思っています。
(ヒデ)だから参加費が無料なんですよね。
(太田)今、神奈川県では川崎や厚木で月謝無料のサッカー教室を開催しています。
(ヒデ)素晴らしいよね。親御さんも助かるよね。これに賛同してくれるスポンサーの方々の協力があってこそだよね。
(太田)そうですね。皆さんご存知の「チケットぴあ」さんにメーンスポンサーについていただいています。
あとはスクールがある地域の企業さん、飲食店さんにもご協力いただいて、地域の子どもたちを、それぞれの地域の大人たちで支えましょうということで賛同いただいてますね。
(ヒデ)一緒にやってみたい、協力させてっていう人は多いでしょうね。
(鬼頭)「微力ながら」がたくさんになったら、それは大きな力になりますよね。
「継続していけるように」

(ヒデ)やりがいもあるとは思うけど、大変なこともあるのでは?
(太田)大変なことはもちろん多いですけど、サッカーだけではなくて習い事がたくさんあふれている中で「経済的に子どもをスクールに通わせられない」とか、そういう情報も入らない家庭が全国にはたくさんあります。
全国の行政や児童福祉施設、養護施設、特別支援学校、学童などと連携して、いろんなスポーツに触れられる機会をつくっていきたいですね。
「不登校の子が学校に通えるようになった」とか「障害を持っている子が中学校に進学してから健常者の子たちと一緒に部活ができるようになりました」とか、たった1年半なんですが少しずつそういった事例も出てきて、やりがいを感じています。これをずっと継続していけるように、ずっと支援し続けられるように頑張ってます。
(ヒデ)オンラインでできることもあるけど、子どもたちが自分から「ちょっと行ってみようかな」と一歩外に出る勇気が持てるようになればいいよね。
サッカーもボール一つあれば、国境とか国籍とか、人種とか、肌の色とかそういうの関係なく友達になれるものだもんね。
(太田)僕がいたオーストラリアのスポーツスクールは総合型スポーツクラブみたいな形で、1年の中でバスケをやる日、ラグビーをやる日、サッカーをやる日みたいに分かれていました。小さな頃からいろんなスポーツを経験して、自分で取捨選択をしていく仕組みがすごくいいなと思っていました。
(ヒデ)選択肢も可能性もたくさんあるんだよっていうことよね。
(太田)1つのスポーツに特化してスキルを向上させるだけではなく、そういった場所に行って、仲間たちと一緒に一つの目標に向かって頑張ったり、勝って喜んだり負けて悲しんだりっていう経験が必ず大きなものになると信じています。そうした場所を提供できればと思っています。
自分は本当にたくさんのものを与えられて、僕はここまでずっとやれてこれたので、今真っ先にやることはそういった方たちへの恩返しと、同じ境遇にある子たちの支援だと思ってます。
「今、ものすごい幸せ」
(ヒデ)今はどれぐらいの方が参加してるの?(太田)スクール生は120〜130人です。イベントはこの1年半で4400人ぐらいが参加してくれました。
(鬼頭)賛同してお手伝いしてくださる選手も多いんですか?
(太田)元日本代表の選手たちが来てくれたり、よしもとの芸人さんにもサポートしていただいたりしています。少しずつ認知と支援の輪が広がってきて、今ものすごい幸せですね。
(ヒデ)「何かしたいけど何していいか分からない」っていう時に宏介が旗を振ってくれたのだから、みんな賛同するでしょう。みんなで広めていけたらいいよね。
「宇野禅斗をずっと追いかけている」

清水エスパルス時代の太田さん(右)=2011年8月
(ヒデ)せっかくなので、ちょっとエスパルスのお話もしていただきたい。今季のこれまでの戦いぶりはどんな印象ですか?
(太田)けが人が続いたり難しいこともあったと思いますけど、秋葉さんのアグレッシブなサッカーで着実に勝ち点を積み上げていると思います。
あとはミドルシュートが決まりますね(笑)松崎君にしても、中原君にしても、あの位置から決めてくれるのはディフェンスとしたらすごく嬉しいし、頼もしいですね。でも、エスパルスはもっともっと上に行ってほしいですけどね。
個人的にずっと追いかけているのは、町田で一緒にプレーしたMF宇野禅斗。サッカーメディアの取材でも「宇野禅斗、絶対に日本代表に選ばれますよ」って言っていたら、本当に代表に選ばれました。
町田で苦しんでる姿を見てましたが、清水が抜群のタイミングで(宇野選手を)獲得してくれて、加入直後から得点とったり、攻守ともに躍動している姿を見てたので、すごく嬉しいですね。
(ヒデ)ちょっとケガが心配だけど、宇野選手の裏情報をください。
(太田)青森山田で育ったからかもしれないですが、上下関係がめちゃくちゃしっかりしています。「おはようございます」の挨拶も、目を見て挨拶できる若手とそうでない若手ってやっぱりいるんですよね。
禅斗は僕が引退してからも、いろんな場所で「お疲れ様です。宏介君、お久しぶりです」みたいに礼儀正しくて、挨拶がしっかりできる。あとはインタビューでの言語化がすごくうまい。僕は人間性を含めてすごく大好きです。
(ヒデ)将来はよしもと入りしてくれないかなあ(笑)
(太田)来てほしいなあ。
(ヒデ)最後にジョガスポの今後の展開とリスナーへのメッセージを。
(太田)少しずつ支援の輪を広げながら、今の活動を継続的にやること。それぞれの地域に根付いて応援してくださる企業さんを大事にしながら、継続して子どもたちのための環境を作っていきたいと思っています。
(ヒデ)子どもたちが大人になって「ジョガスポ出身です」って言うようになれば、幸せだよね。
(太田)嬉しいっすね。僕たちが直接足を動かして、いろんな施設を回っていきたいので、もしリクエストや要望があったら声を掛けてもらえると嬉しいですね。