アウエー3連敗の要因は…

鬼頭:清水エスパルスは6月3日、モンテディオ山形に1対2で敗れ、アウエー3連敗となりました。どのように見てますか。
市川:山形戦は攻守両面に課題が見えた試合だったと思います。まず攻撃面では、リーグ戦今季最多となるシュート20本を放ったにもかかわらず1点だけ。シュート数だけじゃなく、明確な決定機も多かった。単純にゴール前での決定力が足りませんでした。
ヒデ:最初の失点はGKの手前で変なバウンドをしてしまいました。ただ2失点目は完全に崩されて、中央からドーンですもんね。
市川:中央からドーンって決められる前、清水の選手が出した縦パスをインターセプトされていました。カウンターを食らうような格好で、流れも非常に悪かったなと思います。
ヒデ:アウエーで弱いというイメージが付いてしまうと良くないですね。アウエーも絶対に落としては駄目。最低でも勝ち点1は必要ですから。浮上のきっかけはありますか。
市川:秋葉監督になって10試合ほど。乾貴士選手を中心とした戦い方が定着してきて、相手も対策を講じるような状況になってきています。
やっぱりキーになる選手が他に出てきたり、違う戦い方をしたりと、バリエーションをどんどん増やしていかなければ、相手の対策にはまってしまうような試合が続きかねないかなと思っています。
選手も唸るファンタジスタ乾貴士のプレー
ヒデ:そんな中、やっぱり乾選手。6月2日に35歳の誕生日を迎えましたが、まだ伸びしろあるよ。チームを本当に牽引してるなと思う。市川:秋葉監督は雑談の中で、ポロっと「うちは戦術乾ですから」と。冗談半分だと思いますが、その言葉はすごくチーム状況を象徴しています。乾選手が中央に入って、もう全てを、特に攻撃陣を強く牽引しています。
ヒデ:黄金期のスペインリーグで何シーズンも戦ってきて、バルセロナから2ゴール取って。メンタルとかも、やっぱりチームに浸透させてますよね。
市川:僕らだけでなく、選手たちも乾選手のプレーにうなっています。「自分が走ってくところにちょうど絶妙なパスが来る」だとか、「あの人はすごいよ」みたいなことが選手の口から出てくる。フィールドの中でも、やっぱりちょっと1段2段抜けた存在であるのは、今でも変わらないのかなと思います。
鬼頭:秋葉監督に「戦術乾は相手に対策を打たれるかもしれません。ほかの策は?」と質問したときに、「いや、それでもやっぱり戦術乾で行く」っておっしゃっていました。
ヒデ:もちろん、秋葉監督にも他のカードはあるでしょう。
市川:最近の試合では、乾選手をトップ下のポジションに据えた4-2-3-1というフォーメーションだけでなく、中盤を逆三角形にした4-3-3だったり、いろんなフォーメーションを試しています。
秋葉監督は選手の組み合わせを考え、戦い方の幅を広げるチャレンジをしています。乾選手が怪我をしてしまうことがあるかもしれないですし、夏場だとやっぱり体力面というところも懸念がある。「戦術乾」は最大の魅力なんですが、プラスアルファをつけていくことが今すごく大事なのかなと思います。
アウエーの負の連鎖を断ち切れ

鬼頭:そして6月7日は天皇杯の2回戦、FC岐阜戦です。
市川:見どころはたくさんですが、昨年の全国高校選手権でも活躍した日大藤沢高校出身の森重陽介選手が楽しみです。彼はフォワードとセンターバック、両方試合の中でやる選手として注目を集めました。ここまで清水ではフォワードでのプレーでしたが、センターバックでプレーするかも。サッカー版の“二刀流”が実現するかもしれません。
鬼頭:そして6月11日はアウエーでロアッソ熊本と対戦します。アウエー4連敗は阻止したいですね。
市川:アウエーでも清水のサポーターはすごくいっぱい駆けつけています。前回は山形、次は熊本。遠路わざわざ駆けつけるサポーターの期待に応えてほしいと思います。ここで負の連鎖を立ち切らないといけない。
鬼頭:19節が終わった時点でJ2リーグ首位は町田ゼルビア、勝ち点42。2位は大分トリニータ、勝ち点34。静岡県勢は6位ジュビロ磐田、勝ち点30。10位清水エスパルス、勝ち点28。14位藤枝MYFC、勝ち点25。
市川:清水としては、もう落とせない段階になってきたなと思います。ヒリヒリする戦いがこれから始まりそうで胃がキリキリしています。