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朝のデスクおすすめ 3月30日

 おはようございます。この「知っとこ」のコーナーではきょうも日中4回、さまざまな切り口から記事まとめをお届けしますね。この時間は昨夜から今朝にかけてよく読まれている記事、私がぜひお読みいただきたいと思う記事をぎゅっとパックしてご紹介します。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・村松響子〉

ワクチン接種者8人に副反応 静岡県内、全員回復【新型コロナ】

 静岡県は29日、新型コロナウイルスのワクチンを接種した県内の医療従事者のうち、8人がアナフィラキシー症状を疑う副反応が出たことを明らかにした。全員が回復した。県内でコロナワクチンの副反応が報告されるのは初めて。

静岡県庁
静岡県庁
 県によると、県内の医療従事者が接種したのは28日までに延べ2万782回で、副反応が出たのは16日までに接種した人。後藤幹生疾病対策課長は「基準に照らして明らかにアナフィラキシーと断定できるのは2人」と説明。2人は念のため入院し、その後退院した。具体的な症状は明らかにしなかった。
 16日までの詳細な接種人数や回数は国が精査中であることなどを理由に不明とした。
 アナフィラキシーは息苦しさや皮膚のかゆみ、吐き気などの症状が出る。

400メートルの桜並木満開 東伊豆・稲取のクロスカントリーコース

 東伊豆町稲取の町クロスカントリーコースで、ソメイヨシノが見頃を迎えている。町民らが満開の桜並木を楽しんでいる。

満開を迎えた約400メートル続く桜並木=東伊豆町稲取の町クロスカントリーコース
満開を迎えた約400メートル続く桜並木=東伊豆町稲取の町クロスカントリーコース
 コースのスタート地点から約400メートル続く芝生の両側に110本の桜並木が連なっている。例年は花見イベントなどが開催されるが、今年は中止となった。
 29日は同町稲取で最高気温が24・3度となり、今年一番の暖かさに誘われた親子連れらが桜を眺めながら、散策していた。
 (下田支局・尾藤旭)

棚田照らす 幻想的な光 菊川であぜ道アート

 菊川市倉沢の千框(せんがまち)棚田で27日夜、田んぼにろうそくや灯籠を一面に並べた「あぜ道アート」が行われた。来場客は田んぼの水面に反射した明かりが生み出す幻想的な風景と、例年より早く咲いた桜との共演に魅了された。

ろうそくの光が田んぼの水面に反射して幻想的な風景をつくったあぜ道アート=菊川市の千框棚田
ろうそくの光が田んぼの水面に反射して幻想的な風景をつくったあぜ道アート=菊川市の千框棚田
 NPO法人せんがまち棚田倶楽部(くらぶ)と静岡大棚田研究会の学生21人が準備を進め、500本のろうそくをあぜ道に並べた。繁殖期を迎えたシュレーゲルアオガエルのきれいな鳴き声や、オカリナ演奏の音も響き、神秘的な空間を演出した。
 あぜ道アートはコロナの影響で昨年は中止し、今年はライトアップする田んぼの面積を半分以下にするなど規模を縮小した。来場者も限定し、棚田のオーナーと地元住民、保全活動費を法人に寄付した河城小の5年生を招待した。法人の堀延弘事務局長は「コロナ禍で大変な時期に支えてくれたオーナーへの感謝を込めた」と話した。
 (掛川支局・伊藤さくら)

小児がん相談室への相談急増 家族に寄り添い「かけがえない場所」 静岡県立こども病院

 静岡県内唯一の小児がん拠点病院の県立こども病院が2018年度に設けた小児がん相談室での相談件数が急増している。同年度の380件から20年度には903件へと2・4倍に。小児がんの0~14歳は成長が著しい上、患者数が少なく生活の悩み事を共有しにくい。相談室は家族全体をみることで、本人や家族の多様なニーズに応じている。

相談室で遊ぶ西大路和花さん(右から2人目)と七菜さん(右)姉妹。その間、母優奈さんが日頃の生活の様子を話した=静岡市葵区の県立こども病院
相談室で遊ぶ西大路和花さん(右から2人目)と七菜さん(右)姉妹。その間、母優奈さんが日頃の生活の様子を話した=静岡市葵区の県立こども病院
 「今日学校で演奏したの。動画を見て」。3月中旬、相談室に弾んだ声が響いた。8年前、生後半年の時に入院治療を受けた富士宮市の西大路和花さん(8)。家族と定期的な採血検査の後に必ず相談室に寄る。常備してあるおもちゃや粘土を使って姉妹が夢中で遊ぶ間、母の優奈さんは2次がんなど晩期合併症の対策から生活での出来事まで、思うことを話す。
 相談室は地域連携室から独立する形で外来に開設。専従看護師を配置したほか、研修を修了した相談員も当初の2人から9人に増員した。「8年前は受診の時だけが質問のチャンスだった」と振り返る優奈さんは「今ではいつでも訪ね、思いつくままに聞き、確かな回答をもらえる。同じ状況の患者が限られた小児がんの患者家族にとって、かけがえのない場所」と相談増にうなずく。
 姉の七菜さん(10)は「なぜ和花は病気になったの」と質問。専従の加藤由香看護師や医師に答えをもらったことで「当時寂しかった」と言えるようにもなった。医師になる夢もできた。加藤看護師は「家族全体を支えることが相談室の仕事」と話す。
 小児急性リンパ性白血病をはじめとする小児がんは以前は「治らない病気」だったが近年治癒率が飛躍的に伸び、経験者が増えた。乳幼児期で記憶がない人もいて「長期フォローアップ」の啓発は課題だ。相談室は多数の経験者とつながることで、成人医療への移行支援も目指している。本年度は県外や海外から10件近く問い合わせが寄せられ、増加の一因になっている。相談室長の渡辺健一郎医師(血液腫瘍科長)は「治療中や治療後、どこで治療を受けたかにかかわらず、相談してほしい」と呼び掛ける。
 (社会部・大須賀伸江)

 <メモ>小児がん拠点病院 地域で子どものがん診療の中心となる施設。県立こども病院など全国の15施設が2019年4月、国から指定された。適切な治療を進めるとともに成長期の子どもの特性に合わせた身体的、精神的ケアにあたる。
地域再生大賞