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富士のほうじ茶 新商品続々

 秋冬の番茶などを焙煎し香りをつけたお茶「ほうじ茶」を使った新商品が、産地の富士市で続々と誕生しています。「富士のほうじ茶」のブランド化を目指した官民連携の取り組みです。一番茶と比べて格下に扱われることの多いほうじ茶ですが、付加価値向上となるか注目が集まっています。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・尾原崇也〉

「ほうじ茶生ゼリー」販売 人気店杉山フルーツ 透き通る琥珀色

 富士市などがブランド化に取り組む「富士のほうじ茶」を盛り上げようと、同市吉原の青果店「杉山フルーツ」が人気商品「生ゼリー」の新商品「富士ほうじ茶ゼリー」を開発した。週末限定の商品になる予定。

梨入りと次郎柿入りの富士ほうじ茶ゼリーをPRする杉山さん=富士市吉原の杉山フルーツ
梨入りと次郎柿入りの富士ほうじ茶ゼリーをPRする杉山さん=富士市吉原の杉山フルーツ
 同店の生ゼリーは、季節品を含め常時15種類ある。季節の果物をふんだんに使い、とろける食感や見た目の美しさで全国的な知名度を誇る。
 新商品は、ほうじ茶の琥珀(こはく)色がきれいな2種類のゼリー。食べるとお茶の香りが鼻を抜け、果物と相性が良い。梨入り(税込み450円)は豊水を丸くカットし、見た目もかわいらしく、秋を感じさせる。次郎柿の入った柿入り(同600円)もある。
 店主の杉山清さんが色味や香り、味のバランスを吟味した。今後はリンゴでも商品化する予定。杉山さんは「県外からの利用も多いので、微力ながら富士のほうじ茶の発信に協力できたら」と話し、周辺店舗と協力した利活用促進も考えている。
 同市は「富士市ほうじ茶宣言」で、菓子店や飲食店によるほうじ茶メニューの充実などブランド化を進め、現在、複数の地元店が開発に取り組む。
 〈2021.9.18 あなたの静岡新聞〉

富士市、6月に「ほうじ茶宣言」 茶農家や飲食店と連携 酒、高級品… 次々開発

 富士市の小長井義正市長は3日(※6月3日)の定例会見で、同市産の茶葉を使ったほうじ茶を積極的に展開する「富士市ほうじ茶宣言」をした。市内の茶農家や飲食店などが幅広く連携して認知度向上を図り、「ほうじ茶の香りがするまちを目指す」と宣言した。「富士のほうじ茶」として、地域団体商標の登録申請も進める方針。

富士市ほうじ茶宣言に伴い、共同開発商品を発表する茶農家の山田さん(中央)と企業代表者=富士市役所
富士市ほうじ茶宣言に伴い、共同開発商品を発表する茶農家の山田さん(中央)と企業代表者=富士市役所
 同市は、低迷する茶産業の活性化のため、茶産地としては珍しいほうじ茶のブランド化を2020年度から開始。茶農家自らが製茶や火入れをする最高品質のほうじ茶の製品化に取り組んできた。
 中核を担う特製のほうじ茶は、一番茶の茎のみを時間をかけて選別し、浅いりと深いりの茶葉をブレンドして香りが豊かな最高品質に仕上げた。「凜茶(りんちゃ)」と銘打ち、夏用の水出しほうじ茶と合わせて8月に販売する。
 凜茶を使った地元企業との共同開発商品も発表した。富士宮市の富士高砂酒造は香りを生かしたリキュール「ほうじ茶スピリッツ」を6月中に販売開始。富士市の「MID」は味と香りを20倍濃縮し、水や酒で割って楽しめるリキッド「優茶(ゆうちゃ)」の販売を始めた。
 今後、富士市産のほうじ茶を使った「ほうじ茶グルメ」や菓子の開発などを進める。
 JA富士市茶レンジャーほうじ茶部会の山田典彦さん(44)は「多くの方に参画していただき、ほうじ茶を通じ、茶産業だけでなく地域全体の活性化につながれば」と話した。
 〈2021.6.4 あなたの静岡新聞〉

最上級ほうじ茶「凜茶」発売 市内産一番茶使用 道の駅2カ所で提供

 富士市の茶農家が作った最上級ほうじ茶「凜茶(りんちゃ)」の販売が14日(※8月14日)に始まる。富士川まちづくり会社は販売に合わせて市内2カ所の道の駅で開く「富士のほうじ茶フェア」でほうじ茶を使った茶漬けや丼などの「ほうじ茶グルメ」を提供する。

販売を開始するほうじ茶「凜茶」をPRする茶農家と富士の茶娘=富士市内
販売を開始するほうじ茶「凜茶」をPRする茶農家と富士の茶娘=富士市内
 同市は昨年度からほうじ茶のブランド化に取り組み、6月に「ほうじ茶の香りのするまち」を目指す「富士市ほうじ茶宣言」をした。凜茶は若手農家4軒が手間暇をかけた最上級のほうじ茶。市内産の一番茶を使用し、茎と葉を選別。農家自ら焙煎(ばいせん)して浅いりと深いりをブレンドした。
 14日から販売するティーバッグ(計20グラム、税込み864円)は水出し専用で富士山型の箱入り。冷茶でもしっかりと香りがし、すっきりとした味わいとなった。茶農家の代表者は「茶葉の生産から焙煎までこだわって仕上げた自慢の品。ほうじ茶を1年中楽しんでほしい」と話す。
 道の駅「富士川楽座」と道の駅「富士」で開くフェアは、飲食店などがドリンクやスイーツ、パスタやあんかけ丼、ざるそばと茶漬けセットなど、ほうじ茶が香る計9品を提供する。
 〈2021.8.7 あなたの静岡新聞〉
 ※「富士のほうじ茶フェア」は現在行われていません。

富士・岳南電車 ほうじ茶入りデザイン缶「機缶茶」開発

 富士市の岳南電車(通称岳鉄)が岳南富士岡駅に完成した「がくてつ機関車ひろば」のオープンに合わせ、一挙に6種類の機関車グッズを発売した。機関車の雰囲気をまとわせたほうじ茶やマドレーヌ、同駅限定グッズなど趣向を凝らした。

がくてつ機関車ひろばのオープンに合わせて販売を始めた機関車グッズ=富士市内
がくてつ機関車ひろばのオープンに合わせて販売を始めた機関車グッズ=富士市内
 ひろばは、古いものでは90年以上前に製造された電気機関車4台を展示する新たな観光スポット。来場の記念土産にしてもらおうと9月末までの土曜、休日は特設のブースで販売する。オンラインでも購入できる。
 ひときわ目を引くのは、同市産ほうじ茶をしゃれた缶に入れた「機缶茶(きかんちゃ)」(税込み550円)。ほうじ茶は、車体の色に似た濃い茶色で味や香りも濃く、貨物をけん引した機関車の力強さを表現した。つや消し塗装の缶のふたに社紋、側面に機関車のシルエットが入った。
 クリアファイル(同300円)は現役時代の写真と主要諸元が入る。第2弾までに4台がそろう予定で、第3弾は貨車車票のデザインの採用を検討する。1台ずつ描かれた4種類の缶バッジは岳南富士岡駅限定の「ガチャガチャ」で販売する。フォントもそのままの車番をデザインしたTシャツもある。
 同社担当者は「機関車を題材にしたグッズはなかった。次々と新商品を投入する」と意気込む。問い合わせは同社<電0545(53)5111>へ。
 〈2021.8.27 あなたの静岡新聞〉
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