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3時のアフタヌーンクリップ

 こんにちは。7月17日(土)午後3時を回りました。梅雨がようやく明けましたね。62日間は過去最長だそうです。
 この時間の〈知っとこ〉は定番の「アフタヌーンクリップ」です。コーヒーや紅茶を片手に気軽に読めそうな話題を4つピックアップしてお届けします。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・尾原崇也〉

輝くダイオウグソクムシ 板金技能フェアでグランプリ 浜松・スズヒロ製作、市長に受賞報告

 制御盤のケースの製作を手掛けるスズヒロ製作(浜松市北区)はこのほど、金属加工技術で「メタルダイオウグソクムシ」を造り、優秀板金製品技能フェア(職業訓練法人アマダスクール主催)の「造形品の部」でグランプリを受賞した。作品を手掛けた内山麻由さん(42)ら同社関係者が16日、市役所で鈴木康友市長に報告した。

「メタルダイオウグソクムシ」を製作した内山さん(左)=浜松市役所
「メタルダイオウグソクムシ」を製作した内山さん(左)=浜松市役所
 作品は長さ約70センチ、高さ約30センチのステンレス製で重さ約10キロ。銀色に輝く巨大なダイオウグソクムシで、同社溶接課の内山さんが約3カ月掛けて製作した。2人の子どもから提案を受けて題材にした。
 内山さんは溶接に携わって約3年半という。鈴木市長は「素晴らしい作品。溶接女子として売り出してはどうか」と話し、内山さんは「受賞が、女性や子どもがものづくりに興味を持つきっかけになればうれしい」と話した。
 フェアは金属の加工技術を競うことを目的に毎年開催している。造形品の部など5部門に国内外から計288点の応募があり、日本塑性加工学会の会員らによる審査などを通じて選考した。

工藤夕貴さん 米作りから日本酒 富士錦と共同醸造、知事に紹介

 富士宮市で農業に取り組む女優、工藤夕貴さんが16日、県庁を訪れ、自然農法で栽培した米を原料にした日本酒「純米吟然酒 賜(ギフト)」を川勝平太知事に紹介した。

「純米吟然酒 賜(ギフト)」を川勝平太知事(左)に手渡す工藤夕貴さん(中央)ら=県庁
「純米吟然酒 賜(ギフト)」を川勝平太知事(左)に手渡す工藤夕貴さん(中央)ら=県庁
 工藤さんは2005年に同市に移住し、野菜栽培や米作りに取り組みながらカフェレストランを経営している。「ギフト」は工藤さんが無肥料、無農薬で栽培したコシヒカリを原料に、富士錦酒造(同市、清信一代表)と共同で醸造した。
 工藤さんは「心を込めて自然農法で育てた米と静岡の酵母、富士山の伏流水から、本当においしい日本酒に仕上がった」とアピールし、女性チームを組んで手掛けた製造工程を説明した。

業務用販売強化、専門部署を新設 はごろもフーズ アフターコロナ 外食需要見据え

 はごろもフーズはツナ、削り節、フルーツなど業務用製品の販売を強化している。新型コロナウイルス禍の収束後に回復が予想される外食などの需要を取り込むため、専門部署を本年度新設した。

業務用製品の販売戦略を語る毛利恵子部長=静岡市駿河区のはごろもフーズ本社
業務用製品の販売戦略を語る毛利恵子部長=静岡市駿河区のはごろもフーズ本社
 製品別売上高で業務用は2021年3月期に約111億円と全体の13・3%で、8割強を占める家庭用と差が大きい。巣ごもり消費を背景に家庭用の販売で高めたブランド力を生かし、市場開拓の好機と位置付ける。
 4月にスタートした業務用販売部の毛利恵子部長は「少子高齢化や女性の社会参画が進む国内では元々、外食、弁当や総菜を食べる中食が拡大傾向だった」と指摘。巣ごもり消費による内食伸長は一時的で、アフターコロナ時代は従来の流れが戻ると見通す。コロナ禍で多様化した業態に寄り添った商材の提案活動に注力している。
 例えば、削り節や刻みのりの販売は、大容量型と個包装型を使い分けて推奨し、衛生面を重視した消費を意識する飲食店やキッチンカー、持ち帰り専門業者などから支持獲得を目指す。外食自粛下でも人気の飲食店には、自社製品を選択する利点をコスト面以外も丁寧に説き、経営者や料理人らから納得を引き出す工夫を重ねる。
 フルーツゼリー用食材の調達難に陥りかけた菓子メーカーの相談にも機敏に対応し、安定した製品供給力を発揮。環境資源などに配慮した「エシカル消費」には、管理された持続可能な漁業で捕られた原料で生産したツナ製品を提供する。
 21年3月期に前年割れとなった業務用売上高をV字回復させ、家庭用食品と両輪で持続的な成長を目指す。

入院患者の移動に自動運転車椅子 浜松で実証実験

 入院患者が自動運転の車椅子で病院内を移動する実証実験に取り組んでいる浜松市リハビリテーション病院(同市中区)は16日、実験を報道公開した。

病院内の廊下を自動運転の車椅子で移動する実証実験参加者=浜松市中区の市リハビリテーション病院
病院内の廊下を自動運転の車椅子で移動する実証実験参加者=浜松市中区の市リハビリテーション病院
 ベンチャー企業WHILL(ウィル、東京都)が開発した電動車椅子2台を使い、患者が院内のリハビリ室と病棟の間の廊下約50メートルを、健常者が歩く速度より遅い時速2キロで移動した。体の片側にまひの症状がある80代の男性患者は「乗っているだけで目的地に着く。楽でいいね」と話した。
 実験は8日に始まり、21日まで。40人程度に試乗してもらい、安全性や正確性を点検するほか、介助に必要な作業時間の削減などの効果も確認する。市は実験結果を精査し、導入の可否を判断する。病院内での同様の実験は県内初という。
 ウィルの車椅子は事前に撮影した施設内の画像情報と、車両内蔵のカメラやセンサーで検出した位置情報を照合することで自動走行する。障害物を検知すると自動停止する機能も備える。
 羽田空港で10台が稼動中で、病院では実用化されていない。浜松市出身の杉江理社長は自動運転時のエレベーターの利用などの開発課題を挙げ「高齢化が進む中、移動に不安を感じる人々を車椅子で支援したい」と意欲を語った。
地域再生大賞