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新磐田スマートIC 17日開通

 新東名高速道路の新磐田スマートインターチェンジ(IC)が、磐田市北部にいよいよ開通します。土地取得の難航や軟弱地盤対策による延期を経ての開通です。期待される効果は。今後のまちづくりの課題は。磐田支局の山本雅子支局長の記事4本をまとめました。

工業団地に直結 進出企業の利便性向上

 磐田市とNEXCO中日本は(※6月)25日、同市敷地に整備中の新東名「新磐田スマートインターチェンジ(IC)」を7月17日午後3時に開通すると発表した。

7月17日に開通を予定する新東名「新磐田スマートインターチェンジ」=磐田市敷地(市提供)
7月17日に開通を予定する新東名「新磐田スマートインターチェンジ」=磐田市敷地(市提供)
 浜松浜北ICと遠州森町スマートIC間に整備し、県内新東名区間で初めての本線直結型となる。新東名スマートICは県内5カ所目。誤進入した車両が安全に戻れる構造の環道型退出路を新東名で初めて導入している。
 市によると、新平山工業団地に直結したスマートICで、移動時間短縮などの進出企業の利便性向上や災害時対応の迅速化などが期待されている。
 同スマートICは2013年に国交省から連結許可を受けた。当初は2017年春に開通予定だったが、土地取得の難航や追加工事などで遅れていた。
〈2021.6.26 あなたの静岡新聞〉
 

降車促す「目的地」創出 まちづくりの鍵

 磐田市とNEXCO中日本が同市北部の豊岡地区敷地に整備した新東名「新磐田スマートインターチェンジ(IC)」が17日、供用開始になる。工業団地直結の特徴を生かし、進出企業の交通利便性向上や災害対応の迅速化が期待される。これまで新東名上では“通過点”だった磐田。新たな人や車両の流れを呼び込む潜在性に着目し、幅広い活用戦略の構築が求められる。

開通間近の新磐田スマートインターチェンジを見学する参加者=磐田市敷地〈写真は2021.6.21 あなたの静岡新聞〉
開通間近の新磐田スマートインターチェンジを見学する参加者=磐田市敷地〈写真は2021.6.21 あなたの静岡新聞〉
 新東名の浜松浜北IC―遠州森町スマートIC間に位置し、2013年に国交省が連結許可した。土地取得の難航や軟弱地盤対策工事の曲折を経て、約8年がかりで完成にこぎ着けた。
 供用開始後の即時的な効果は、近接する新平山、下野部の両工業団地に進出する企業の輸送、移動時間の短縮だ。両隣のIC、スマートIC利用時と比べ、高速道までの時間は東京、名古屋方面でそれぞれ16分、19分短くなる予定。市産業政策課によると、完成見通し公表後、企業から問い合わせが続く反響もあった。
 一方、新平山は全区画、下野部も多くが進出済みで、次のまとまった工業用地を紹介できる状況に無いという。市は民間ノウハウを活用して用地開発する姿勢だが、せっかくの進出ニーズを逸機しないよう開発計画のスピードアップやアクセスがあった企業への継続的なフォローも重要になる。
 交流人口拡大につながる新東名利用者の誘客アプローチも欠かせない。立地する豊岡地区はトレッキング愛好者に知られる獅子ケ鼻公園や梅園などの豊かな自然、エビイモや次郎柿などの特産農産物を有するが、遠方からの知名度はまだまだ高くない。新磐田スマートICの計画交通量は1日1500台。参拝客が多い小国神社に近い東隣の遠州森町スマートIC、交通量1日約6千台(今年4月)の西隣の浜松浜北ICに挟まれるだけに、降車の動機になる目的地や観光コンテンツを創出してPRし、存在感を高めるべきだ。これには、地元住民発案の企画や発信も鍵になる。
 市とNEXCO中日本が計約50億円(交付金含む)掛けて整備した市北部の新たな玄関口。変化の胎動を目に見える活性化に結びつけ、波及効果を高めてほしい。
〈2021.7.14 あなたの静岡新聞 「風紋」〉

流通業の市内進出促進 新規立地、IC5キロ以内に拡大

 磐田市は1日の市議会2月定例会一般質問で、運送や倉庫など大規模流通業の市内進出促進を目的に、4月から立地可能対象区域を拡大すると明らかにした。静岡県開発審査会が基準にする高速道路などのインターチェンジ(IC)、スマートICから1キロ以内とする現行範囲を、独自に5キロ以内に広げる。

  市によると、流通業務施設の新規立地は、市街化調整区域に含まれるICなどから1キロ区域内に制限されている。これを、東名磐田IC、遠州豊田スマートIC、新東名新磐田スマートIC(初夏開通予定)から5キロ以内の県道などの幹線道路沿いに拡大する。市都市計画審議会に諮問し、承認された。静岡県内市町で対象区域を拡大するのは初という。
  製造業が基幹の同市では、関連する流通業の進出ニーズが多かったが、農地や急傾斜地、山林地域が多く、事実上進出が制限されていた。渡部修市長は「事業者にとっては新規立地の選択肢が増える。雇用確保や定住人口維持につなげたい」と述べた。
 〈2021.3.2 静岡新聞朝刊から〉

豊岡=豊かな丘 開通見越し、地区一帯の活性化目指す構想動く

 磐田市北部に位置する豊岡地区敷地の住民団体がこのほど、豊かな自然や農産物などの地域資源を活用して地区一帯の活性化を目指す構想を打ち出し、実現に向けて動きだした。名付けて「フルーツフル・ノールズ(実り豊かな丘)」構想。7月17日の新東名「新磐田スマートインターチェンジ(IC)」開通で交流人口増加が期待される中、地域に根づいた伝統や既存施設を生かしながら、新たなまちづくりにつなげる。

構想について話し合う協議会メンバー=磐田市敷地の豊岡東交流センター
構想について話し合う協議会メンバー=磐田市敷地の豊岡東交流センター
 提案したのは豊岡東地区環境保全協議会。豊岡地区は緑豊かな景観やエビイモ、次郎柿などの特産農産物を有するほか、ヤマハ発動機、浜松ホトニクスといった多様な企業の進出も盛ん。天竜浜名湖線沿線3駅、近く開通する新東名スマートICなど交通アクセス環境も整い、「交流拠点としての能力と機能を十分に備えたエリア」と位置づけている。
 同協議会は構想の中で、まず地元の敷地地域の役割を提示。田園地帯を「ハーベスト(農耕)の里」、トレッキングもできる獅子ケ鼻公園周辺の森林地域を「メディテーション(めい想)の山」、閉校した旧豊岡東小を再活用して人が集う拠点にする「イノベーション(新たな価値創造)の森」の3区にゾーニングし、目指す方向を示した。今後地域や企業関係者と意見交換し、具体化させる方針という。
 乗松洋一会長は「スマートIC開通などの変化をとらえ、地域の発展を目指す。近く市長にも提案したい」と話した。
〈2021.7.2 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞