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7月8日 朝の編集長セレクト

 おはようございます♪ きょうは質屋の日だったり、なは(那覇)の日だったり、ナンパの日だったりします。いずれも語呂合わせですね。
 さて、このコーナー〈知っとこ〉は今日も4回更新を予定しています。この時間は注目記事を4本ピックアップしてご紹介します。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・松本直之〉

盛り土高さ、届け出3倍超 業者、産廃で是正指導も 熱海土石流

 熱海市伊豆山で発生した大規模な土石流の最上部で崩落した盛り土について、2010年以降、市に提出した届け出の3倍を超える高さにかさ上げされた疑いが7日、県の調査で明らかになった。推定される崩落時の盛り土の高さは50メートル。県などによると、当初施工した小田原市の不動産管理会社(清算)は09年に盛り土の高さを15メートルとする計画を市に届け出ていた。

盛り土の断面図
盛り土の断面図
 静岡県土採取等規制条例で定められた高さの基準は「原則15メートル」で、県は不適正な盛り土の工法が被害を拡大させたとみている。
 難波喬司副知事が県庁で記者会見し、11年2月までの関係書類などを調べた内容を明らかにした。
 不動産管理会社が県条例に基づき09年12月に市に提出した届け出によると、施工面積は0・9696ヘクタール、盛り土量は3万6641立方メートル、高さは15メートル。棚田状に3段にする計画だった。
 一方、県が20年1月の地形データと国土交通省が取得した10年1月の地形データを比較したところ、盛り土の高さは50メートル、量は約5万4千立方メートルと推定され、段数は12段程度。今回の土石流で大半の約5万立方メートルが崩落したとみられる。
 県によると、同社は10年8月に工事がおおむね完了したと市に報告したが、その際、盛り土の中に産業廃棄物の木くずの混入を確認したため県と市が撤去を指導。また、市は工事が終わっているはずの時期に土砂の搬入が確認されたため、同9月に工事の中止と完了届の提出を要請したが、11年2月に土地所有者が同社から現所有者に変わり、以降は完了届を確認できていないという。
 県は11年2月以降に届け出を提出せずに土地が改変された可能性もあるとみて調査を進める。
 現所有者代理人の河合弘之弁護士は取材に「不動産業者から売り込みがあった。土地購入後に(盛り土を含め)工事をしたことは一切ない。欠陥土地を買わされたと思っている」とコメントした。

戸籍性別変更「手術なしに」 浜松・鈴木さん、申し立てへ 特例法要件の違憲性問う

 LGBTなど性的少数者らでつくる浜松TG(トランスジェンダー)研究会代表の鈴木げんさん(46)=浜松市天竜区=が、性同一性障害(GID)の戸籍上の性別変更要件を定めた特例法の違憲性を訴える家事審判の申し立てを計画していることが、分かった。同様の申し立ては全国で2例目。今秋ごろ、静岡家裁浜松支部へ申し立てる。鈴木さんは「誰もが性自認通りの戸籍が与えられる社会にしたい」と訴える。

申し立てに向け、弁護団と打ち合わせをする鈴木げんさん(右)=6月下旬、浜松市中区
申し立てに向け、弁護団と打ち合わせをする鈴木げんさん(右)=6月下旬、浜松市中区
 申し立てでは、「性同一性障害者特例法」における戸籍変更要件の違憲性が焦点となる。同法では、生殖機能がない状態が要件の一つに定められ、戸籍変更には精巣や卵巣などの除去が求められる。
 4歳ごろから自身の性別に違和感を抱き始めたという鈴木さんは、戸籍上は女性だが、性自認は男性。約6年前から「男性らしい見た目」を得るため、ホルモン治療を受け、現在は「男性」として、女性のパートナーと生活している。
 性別適合手術を強いられる現行法の要件を不当とし、未手術のまま戸籍変更を申請する。「体にメスを入れないと戸籍変更が認められないのは、身体的、精神的な負荷が大きすぎる」とし、人権保障を求めていく考え。
 2016年に岡山県在住の(戸籍上は)女性が起こした同様の家事審判では、19年1月に最高裁の合憲判断が下されている。ただ、「憲法違反の疑いが生じていることは否定できない」とする補足意見も示され、社会状況の変化による判断変更への含みを持たせた。
 弁護団の水谷陽子弁護士(愛知県弁護士会)は「特例法によりGIDの家族形成の権利と平等権が侵害されており、憲法違反と言える。身体の侵襲を受けずに性自認が尊重されるべき」と強調。憲法における法の下の平等や個人の尊厳、男女平等の観点から、特例法の違憲性を争う構えだ。
 鈴木さんは「性の在り方は多様。いろんな選択肢があることは、豊かな社会の大前提。申し立てが、未来の子どもたちにとっても生きる糧になると信じている」と語る。
 
 <メモ>性同一性障害者特例法 性同一性障害者に関する法令上の性別の取り扱いを定めた特例法として、2004年7月に施行。性別変更の審判が可能となる5要件として①二十歳以上②現に婚姻していない③現に子供がいない④生殖腺がないまたは生殖腺の機能を永続的に欠く状態にある⑤他の性別の性器に近似する外観を備えている-が定められている。一方、19年5月の世界保健機関(WHO)総会で、国際疾病分類において性同一性障害が「精神障害」の分類から除外され、「性別不合」に変更されることが承認された。04年には、英国で性別適合手術を受けずに法的性別の変更を認める「性別承認法」が成立。以後、欧州を中心に性別変更の基準を見直す流れが加速している。

⚽サッカー天皇杯3回戦 磐田貫禄、ホンダに完勝

 サッカーの天皇杯第101回全日本サッカー選手権(日本サッカー協会、Jリーグ主催、静岡新聞社など共催)は7日、ヤマハスタジアムなどで3回戦12試合を行った。

磐田―ホンダFC 前半27分、チーム2点目のゴールを決める磐田の小川航(9)=ヤマハスタジアム
磐田―ホンダFC 前半27分、チーム2点目のゴールを決める磐田の小川航(9)=ヤマハスタジアム
 静岡県代表のホンダFC(JFL)とJ2磐田の県勢対決は、磐田が4―1で制した。
 3回戦の残り4試合は14、21日、8月4、18日。4回戦は8月18日などに行う。

 ▽3回戦
磐田(J2) 4(3―0 1―1)1 ホンダFC(静岡)
▽得点者【磐】ゴンザレス、小川航2、三木【ホ】鈴木雄

 【評】磐田が攻守で勝負強さを発揮し、ホンダFCを退けた。
 磐田は前半2分、ファビアンゴンザレスの個人技で先制。その後も鋭い出足でホンダの自由を奪い、両サイドから速攻を仕掛けた。小川が前半35分までに2得点するなど、2トップの活躍が光った。
 ホンダはボールを支配する時間も多かったたが、ラストパスの精度を欠くなどして好機はわずかだった。後半12分、鈴木雄のゴールで1点を返すにとどまった。


 ■〝天竜川決戦〟制す 
 磐田がホンダFCとの4年ぶりの“天竜川決戦”を制した。開始2分のFWファビアンゴンザレスの来日初ゴールと、FW小川航の2ゴールで前半3―0。ゴンザレスは「ダービーということは知っていたので、より集中して臨むことができた」と振り返った。
 楽勝ムードから一転、後半は防戦が続いた。12分はDFの背後を突かれて失点。その後も捨て身の相手にボールを奪えずに苦しんだ。3月の右大腿(だいたい)の負傷から先発復帰したMF小川大は「自分たちからアクションを起こすことも少なかった」と反省した。
 さらにアクシデントも発生した。後半から出場したDF森岡が相手にタックルした際に右足首を負傷し、交代を余儀なくされた。チームの快進撃を支える大卒ルーキー。DF陣は伊藤がドイツに移籍したばかりで、大井も負傷で前節3日の新潟戦を欠場している。
 森岡の負傷退場後は小川大を下げてしのいだが、鈴木監督には「オフ(ボールがない場面の動き)のマーキングがアバウトになった。改善したい」とDF陣の“代役”のアピールは物足りないと映った。前節に初めてJ2リーグ戦首位に立って臨む11日の山口との後半戦初戦は、チームの総合力が問われそうだ。

 ■アマ最強軍団 快進撃止まる ホンダFC
 開始直後に浴びた先制パンチをきっかけに、ホンダFCの守備網は次々に破られた。「天竜川決戦」とファンも期待した磐田との大一番で、前半の3失点は重かった。
 磐田FWファビアンゴンザレスの「個の強さ」に圧倒された。前半2分、左サイドをドリブルで崩されて失点。2失点目は守備陣がゴンザレスに引き寄せられ、マークの甘くなった小川航に強烈なシュートを決められた。
 相手がペースダウンした後半はパスを連ねるホンダらしさをのぞかせたが、1点を返すのが精いっぱい。安部監督は「立ち上がりの失点が大きかった。前半はいつものことができていなかった」と振り返り、GK楠本は「相手には戦う姿勢があった。アマチュアの僕らが受けて立ってしまった」と悔やんだ。
 宿敵相手に完敗。ただ今大会も岐阜、横浜MのJリーグ勢を撃破して勝ち上がり、アマチュア最強軍団の存在感は示してみせた。「ホンダの看板を背負っている以上、プライドを持って戦っていかなければ」。指揮官はJFLに向けて気持ちの切り替えを強調した。

五輪スケボー 青木選手「世界びびらせたい」 メダル獲得へ意欲

 東京五輪で初採用されるスケートボード・男子ストリート日本代表の青木勇貴斗選手(17)=ボードライダーズジャパン、静岡市清水区=が7日、県庁を訪れた。出野勉副知事に「自分らしい技を出してメダルを取りたい」と大舞台での活躍を誓った。

東京五輪への意気込みを語る青木選手=県庁
東京五輪への意気込みを語る青木選手=県庁
 青木選手は6月、五輪最終予選となる世界選手権(イタリア・ローマ)に出場。予選敗退だったが、五輪予選ランキングで日本勢3番手になり、出場権を確定させた。5歳から競技を始めた青木選手は「小さな頃から好きでスケボーをやっていたが、まさか五輪種目になるとは思わなかった」と振り返った。
 五輪にはスケボーの本場米国から王者ナイジャ・ヒューストンら強豪が乗り込んでくる。青木選手は「ボードが複雑な回転をして(ジャンプ台などの)セクションに入るのが持ち味。そこを見せてメダルに近づきたい」と強調。「(演技で海外勢を)びびらせてやりたい」と独特な言い回しで躍進を約束した。
 出野副知事は「ご自身が言うように、楽しんで実力を発揮してほしい」と激励した。
 今後は16日まで県内などで練習し、17日から新潟で日本代表の事前合宿で最終調整し本番を迎える。
 
地域再生大賞