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今年の一皿に選ばれた「ご馳走おにぎり」を巡る物語とは?

 2023年の「今年の一皿」に選ばれた「ご馳走おにぎり」。具材をふんだんにのせた、見た目が豪華なおにぎりを指すそうです。米の消費が減る中、静岡県内では地元食材を使ったおにぎりで、地域を知るきっかけにしようとする動きや、熱い戦いが繰り広げられたりしています。おにぎりを巡る話題をまとめました。

具材ふんだん、見た目豪華な「ご馳走おにぎり」 今年の一皿に 

 食に関する調査や研究を行う「ぐるなび総研」(東京)は4日、2023年の世相を最も反映した「今年の一皿」に「ご馳走おにぎり」を選んだと発表した。

「今年の一皿」に選ばれた「ご馳走おにぎり」=4日午後、東京都千代田区
「今年の一皿」に選ばれた「ご馳走おにぎり」=4日午後、東京都千代田区
 ご馳走おにぎりは、具材をふんだんにのせた、見た目が豪華なおにぎりを指す。店で好きな具材を選び、握りたてを味わうスタイルが人気を集め、全国で専門店が相次いで出店。国民1人当たりの米の年間消費量が減る中、外食や中食での米の消費を後押しした。
 また海外でも専門店に行列ができるなど「『ONIGIRI』の名前で日本の伝統的な食文化が浸透しつつある」ことも選定理由となった。
 今年の一皿は飲食店情報サイトでの検索履歴やアンケート、審査などを基に決定。今年は他に、高騰した輸入小麦の代わりに米粉を使った「米粉グルメ」、持続可能な水産資源として注目されている「陸上養殖魚」、中国の禁輸で打撃を受けた「ホタテ」も候補だった。
〈2023.12.5 あなたの静岡新聞〉

特産カツオをふわふわなフライおむすびで 焼津「福一漁業」

 焼津市の水産会社「福一漁業」が自社で漁獲したカツオを揚げた具材のおむすびを発売してから、約半年が経過した。総菜コーナーで手に取りやすいおむすびに同社として初参入。本来は揚げるとかたくなってしまうカツオを独自の製法で、揚げてもやわらかくすることに成功した。得意のすしとは異なる新たなブランドの確立を目指す。

福一漁業のおむすび=焼津市内
福一漁業のおむすび=焼津市内
 おむすびは5月から、MEGAドン・キホーテUNY大覚寺店(同市大覚寺)を中心に販売している。カツオ、マグロ、サバ、シャケなど魚の具材を使った商品11種類を展開。開店時刻に合わせて当日早朝から調理し、提供している。
 同社は同店の改装オープンに合わせて、総菜コーナーで人気の高いおむすびの商品化を企画した。主力のカツオを、おむすびと合うことからフライにして使用することを開発方針に掲げた。約3カ月の試行錯誤の末、揚げてもやわらかく、特有の生臭さを排し、風味を消さないといったハードルをクリアした。
 このほど市内で行われた「魚(とと)フェス」にブースで出品したところ、カツオのフライを乗せたおむすびを買い求める客で長蛇の列ができた。同社商品開発リーダーの今井昌幸さんは「マグロカツオの福一だからこそのこだわりが詰まった商品。おむすびもあることをもっと知っていただければ」と語った。
〈2023.12.5 あなたの静岡新聞〉

地元の特産シラス 手作り体験で園児が笑顔 富士

 富士市の田子浦幼稚園の園児は26日、地元の田子の浦港で採れたシラスを使ったおにぎり作りに挑戦した。田子の浦漁業協同組合の関係者らから漁の方法やシラスの栄養などについても学んだ。

地元のシラスを使っておにぎりを作る園児=富士市の田子浦幼稚園
地元のシラスを使っておにぎりを作る園児=富士市の田子浦幼稚園
 園児約70人は、ちりめんじゃこと麺つゆ、だしとともに炊き込んだご飯を団子状や三角形に握った。丁寧に形を整えて完成したおにぎりをほおばると「味が濃くておいしい」「海のいい匂いがする」などと笑顔を見せた。
 田子の浦港の漁師芹沢卓也さんは(37)は、鮮度と品質にこだわる「一艘(そう)引き」漁法について、演技を交えて解説した。漁で実際に使用している網や袋を使い、芹沢さんを船、園児をシラスに見立てて園児を網で囲むと、歓声が上がった。クイズ形式でシラスに含まれる栄養素や名前の由来なども紹介した。
 芹沢さんは「子どもが地元に港や特産物があることを誇りに思ってくれたらうれしい」と話した。
〈2023.12.5 あなたの静岡新聞〉

熱い青春“コメた”おにぎり対決 浜松の高校が参加 地元に活気

 浜松市内の高校生のアイデアを基に地元産の食材を使っておにぎりを販売する「おにぎりフェスin浜松」(実行委主催)が24日、浜松市中区の砂山銀座サザンクロス商店街で初めて開かれた。市内6校が参加し、熱い青春を“コメた”おにぎりバトルを繰り広げた。

完売を喜ぶ浜松大平台高の生徒=浜松市中区の砂山銀座サザンクロス商店街
完売を喜ぶ浜松大平台高の生徒=浜松市中区の砂山銀座サザンクロス商店街
 オイスカ浜松国際高、天竜高、浜松大平台高、浜松湖北高、浜松南高、浜松学芸高がそれぞれ県内のキッチンカー業者とタッグを組み、各200個を販売した。ひき肉にエシャレットを混ぜ、ギョーザをイメージした味付けに仕上げた浜松南高の「遠州ぎょうざ具にぎり」や茶と舞阪しらすを混ぜた浜松湖北高の「茶らす」など個性豊かなおにぎりが並んだ。
 開始から約2時間半で全校完売し、生徒らは「こんなに早く売り切れると思っていなかった」と口をそろえた。浜松大平台高の生徒とコラボした清水洋子さん(68)=南区=は「高校生は元気がいい。普段できない経験で刺激になる」と話した。来場者の投票で、三ケ日みかんの皮などを使ったふりかけを混ぜ込んだ浜松学芸高の「みかこ」が初代グランプリに輝いた。
 砂山町などでホテルを経営する「アセント」と、昨年校内で同様のイベントを開いた浜松学芸高の生徒が企画した。6月から準備を進めてきた同高2年の渡辺俊汰朗さん(16)は「下見をした際には当日ここに人が来てくれるのか不安だったが、今日のサザンクロスはいつも以上に明るく活気にあふれていた」と充実感を語った。
 (浜松総局・小林千菜美)
〈2023.9.5 あなたの静岡新聞〉
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