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トヨタが開発中 複合施設「モータースポーツフォレスト」とは

 トヨタ自動車とグループ会社のトヨタ不動産(旧・東和不動産)は、小山町の富士スピードウェイとその周辺を体験型複合施設「モータースポーツフォレスト」に変貌させる開発に着手しています。今年2022年秋から新施設を順次開業する予定で、年齢を問わず楽しめる施設を目指すとのことです。これまでに明らかになっている情報を1ページにまとめました。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・安達美佑〉

秋にホテル開業 モータースポーツの魅力発信

「富士モータースポーツフォレスト」のイメージ
「富士モータースポーツフォレスト」のイメージ
 ※2022年4月7日 あなたの静岡新聞から
 トヨタ自動車とグループの東和不動産は(4月)6日、小山町の富士スピードウェイ(FSW)と周辺を体験型複合施設「モータースポーツフォレスト」と位置付け、今年秋から新施設を順次開業すると発表した。まずは「富士スピードウェイホテル」をオープンし、車やモータースポーツの魅力発信に取り組む。年齢を問わず楽しめる施設にし、年間100万人の来場を目指す。
 トヨタ自動車の佐藤恒治執行役員は記者会見で、「コンセプトは大人の遊び場、社交場。車やモータースポーツを愛する全ての人が集い、語り合って、童心に返って楽しめる場所でありたい」と構想を披露した。
 エリアは約250ヘクタール。FSWや、東和不動産が「モータースポーツビレッジ」として整備を進めていたエリアを含む。複数のレーシングチームのガレージを設け、見学ツアーなどのイベントを行う。地元食材を使った料理を提供するレストランや温浴施設も新設する。FSWでも新たな体験コンテンツの提供に向けて、検討を進めているという。
 FSW隣接地に建設中の富士スピードウェイホテルは、富士山に臨み、サーキットを見下ろせる。建物内には歴史を彩ったレーシングカーを展示するミュージアムもオープンする。
 FSWの開業60周年に当たる2026年ごろまでに大部分の完成を目指す。東和不動産は27日にトヨタ不動産に社名変更する。
 佐藤執行役員は「地域の皆さまと共に、モータースポーツを起点にしたまちづくりにチャレンジしたい」と強調した。
 ※内容、表記などすべて掲載日時点

富士スピードウェイホテルの詳細は

今年秋に開業する予定の富士スピードウェイホテル。建物内に富士モータースポーツミュージアムもできる=2022年4月6日午後、小山町
今年秋に開業する予定の富士スピードウェイホテル。建物内に富士モータースポーツミュージアムもできる=2022年4月6日午後、小山町
 ※2019年4月4日 静岡新聞朝刊から
 トヨタグループの東和不動産(名古屋市)は(2019年4月)3日、小山町の富士スピードウェイ(SW)敷地内に、国内初進出となるハイアットのブランド「アンバウンドコレクション」の高級ホテルを2022年度に開業すると正式発表した。モータースポーツファンに加え、富士山を望む立地を生かし、国内外の観光客を取り込む。
 アンバウンドコレクションは地域の特色に応じたデザインや設備で、独自性ある上質なサービスを提供するのが特徴。世界で13のホテルを展開する。
 
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ホテル計画地

 建設地は富士SW西ゲート近くで、敷地面積は約4ヘクタール。8~10階建てを想定し、客室数はスイートを含め約120室。レストランや温泉、室内プールを備える。大規模宴会場や会議室も設け、研修旅行やイベント会場としての利用も見込む。
 同社が建設、経営を担う。運営は米ホテル大手「ハイアットホテルズ」の系列会社に委託する。モータースポーツミュージアムを併設し、1970年代~80年代のレースカーを展示するほか、富士SWの歴史を伝える。
 東和不動産と小山町が付近に整備し、21年度から順次開業する複合施設「モータースポーツビレッジ(仮称)」とともに、モータースポーツの魅力を発信する。同社の鵜飼正男社長は「モータースポーツをさらに身近なエンターテインメントとして親しんでいただくよう取り組む」とコメントを出した。
 ※内容、表記などすべて掲載日時点

モータースポーツビレッジとは?

施設の完成イメージ図。中央がホテルとカフェ&レストラン。左上はレースチーム用と個人用、右下は自動車メーカー用のガレージ(東和不動産提供)
施設の完成イメージ図。中央がホテルとカフェ&レストラン。左上はレースチーム用と個人用、右下は自動車メーカー用のガレージ(東和不動産提供)
 ※2018年8月28日 静岡新聞朝刊から
 小山町とトヨタ自動車グループの東和不動産(名古屋市)など民間企業2社は、同町の富士スピードウェイ(SW)近接地にモータースポーツの魅力の発信や地域振興を目的とした複合施設を整備する。ホテルやレースチーム用のガレージを新設し、2021年春ごろから順次開業する。3者は(2018年8月)27日、土地利用事業に関する基本協定を町役場で締結した。
 事業用地は20年度に供用開始が予定されている新東名高速道小山パーキングエリア(仮称)に隣接する民有地で、面積約27ヘクタール。富士SWと町道を挟んで南側に位置する。
 
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 町が土地を取得し、造成して19年度末をめどに分譲する。同社と建設・土木業の坪井工業(東京都中央区)が「モータースポーツビレッジ(仮称)」として、レースチーム用と自動車メーカー用、個人用の三種類のガレージ、ホテル、カフェ&レストランを設ける計画。各施設の規模や開業時期は今後、決定する。
 主にモータースポーツ関係者の利用を想定するが、一般客も受け入れる。ガレージの公開やファン交流イベント、コンサートの開催なども検討する。
 東和不動産は、開発が順調に進めば、一部施設の開業を富士SWも舞台になる20年の東京五輪に間に合わせたいとしている。
 基本協定の締結式では、込山正秀町長と代表事業者である東和不動産の鵜飼正男社長が協定書に署名した。
 込山町長は「完成すれば小山町のシンボルとして世界に発信できる」と期待を寄せた。鵜飼社長は「町の経済発展、雇用創出に協力したい」と述べた。
 ※内容、表記などすべて掲載日時点

トヨタ社長「車の魅力 発信の場に」

 トヨタ自動車の豊田章男社長は6月3日、小山町で記者会見し、同町の富士スピードウェイ(FSW)を中心にしたモータースポーツ文化の体験型施設「富士モータースポーツフォレスト」について、「過去から変わらない車の魅力を発信でき、未来につながっていく場所」と位置付けを語った。

富士モータースポーツフォレストに対する思いを語った豊田社長(中央)=小山町
富士モータースポーツフォレストに対する思いを語った豊田社長(中央)=小山町
 幼少期に父親に連れられてレース観戦に訪れたFSWを「車にあこがれた場所」とした。「車はかっこいい。エンジニアになってみたい。そんな、60年前に私自身が感じた原体験をこの場所で感じてほしい」と話した。
 フォレストと次世代技術の実験都市「ウーブン・シティ」(裾野市)、自動運転などの研究開発拠点「東富士研究所」(同市、御殿場市)の3施設は「どれも未来をつくっている場所」と強調。「お互いに刺激を受けながら未来づくりに貢献できれば」と意欲を示した。
 FSWで開催中の24時間耐久レースに合わせ、自身がオーナーの「ルーキーレーシング」のガレージで記者会見した。
 〈2022.6.5  あなたの静岡新聞〉
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