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ネコと一緒に世界旅行! 岩合光昭さん写真展

 世界各地のネコを撮り続ける動物写真家岩合光昭さんの写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き2」が、三島市の佐野美術館で開かれています。「気分屋」のネコの愛らしい姿を写真特集でまとめるとともに、撮影に込めた岩合さんの思いなどをご紹介します。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・吉田直人〉

各地のネコ、自然体とらえる 6月26日まで

 世界各地のネコを撮り続ける動物写真家岩合光昭さん(72)の写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き2」(佐野美術館、静岡新聞社・静岡放送など主催)が4月23日、三島市中田町の同美術館で開幕した。マイペースで愛らしいネコの自然体をとらえた写真が並び、初日から大勢の来場者が訪れた。

世界各地のネコの写真を並べた「世界ネコ歩き2」=三島市の佐野美術館
世界各地のネコの写真を並べた「世界ネコ歩き2」=三島市の佐野美術館
 ニューヨーク、ペルー、瀬戸内海など国内外16地域で撮影された約140点を展示した。ピザ屋の“看板ネコ”は店先のイーゼルに乗って客に愛きょうを振りまき、海水浴を楽しむ人間を横目に砂浜に寄りかかるリオデジャネイロの茶トラネコはまるで“王様気分”。砂丘で足跡を残して散歩したり、ヒツジの大群を見守ったりと、世界各地の自然や環境の中で生きるネコの表情、しぐさがありのままに表現されている。
 写真展は6月26日まで。期間中は「うちのネコ」の写真(L版プリント)を募集し、館内に掲示する。入館料は一般・大学生1100円、小中学生・高校生550円で、写真の持参者は1割引。5月5日を除き木曜休館。
〈2022.04.24 あなたの静岡新聞〉

ネコ歩きの思い出語る 岩合さん、会場でギャラリートーク

 世界各地でネコを撮り続ける動物写真家岩合光昭さん(71)の写真展「世界ネコ歩き2」(佐野美術館、静岡新聞社・静岡放送など主催)を開催中の同美術館(三島市中田町)で3日、ギャラリートークが開かれ、岩合さんが各地で出合ったネコのエピソードを紹介した。

写真を見ながらネコのエピソードを紹介する岩合さん(右)=三島市の佐野美術館
写真を見ながらネコのエピソードを紹介する岩合さん(右)=三島市の佐野美術館
 リオデジャネイロで暮らす茶トラ猫のシキーニョは「砂浜の王様」と呼ばれ、主人のバイクに乗ってビーチに毎日やってくる。撮影にも緊張せず、あおむけになって横になる余裕さが印象的という。ニューヨークの白猫ホワイトスライスはピザ屋の“看板猫”。店先のイーゼルに跳び乗り、人々に愛嬌(あいきょう)を振りまいている。
 「砂漠とネコ」を撮ろうと訪れたのはアラブ首長国連邦。砂丘に足跡を残すには霧の湿り気が必要で、撮影まで3日間待った。三毛猫のミンナークは名前を呼ばれたらまっすぐに歩き出し、砂には点々とした足跡がくっきり。「主人との信頼関係があり、素直なネコだった」と振り返った。

 ■表情、しぐさに焦点 一問一答
 ギャラリートークを終えた岩合さんが取材に応じ、ネコへの思いなどを語った。
 ―ネコの写真を上手に撮るポイントは。
 「ネコの顔にこだわりすぎる人が多いが、全身から醸し出される雰囲気や表情、しぐさなど、全体に注目すれば写真の撮り方も変わってくる。ネコをリラックスさせ、普段通りの状態からシャッターチャンスを見いだしてほしい」
 ―ネコの魅力は。
 「ネコの大きさは世界中どこに行ってもほとんど変わらない。自然に生まれたままの野生の姿が残されているからこそ、家の中でも動きに躍動感がある。その驚きの中で、人間が置き忘れてきた野生の感覚を呼び覚まさせてくれる」
 ―写真展をどう楽しんでほしいか。
 「コロナでなかなか世界旅行は難しいと思う。ぜひ、ネコたちと共に世界中を旅してもらいたい。写真を見ると、僕自身も旅に行きたくなってしまう」
〈2022.05.04 あなたの静岡新聞〉

岩合さんにネコとの向き合い方、語ってもらいました

 世界各地を巡る動物写真家岩合光昭さんが撮影したネコの写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き2」が4月23日、三島市の佐野美術館で開幕する。欧米諸国のほか中東、南米など各地のネコが見せたとっておきの表情や瞬間など計140点を展示する。「マイペース」「気分屋」とも言われるネコたちと向き合う難しさや喜びを岩合さんに語ってもらった。

岩合光昭さんⓒIwago Photographic Office
岩合光昭さんⓒIwago Photographic Office
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 高校時代、友人の家にネコがたくさんいました。家屋の内外に計28匹。友人の肩越しに一匹と目が合い、心をつかまれました。
 父が新聞社のカメラマンだった影響もあって、大学の頃から写真を撮るようになりました。海外の写真家が撮影したネコの写真集を見たことも一つのきっかけ。「こうも簡単に撮れるのか」と思ってしまったのが大きな間違いで、構図や動き、光加減など、イメージ通りにはいかないことばかりでした。撮影は常に「キャットファースト」です。
 ピザ屋のイーゼルに乗る文字通り「看板ネコ」をニューヨークに訪ねましたが、姿を見せてくれるまで6時間待ちました。もちろん野生動物では何カ月も粘ることはありますが、お店にも迷惑を掛けないようにと気を使います。一方、ブラジルの海岸では、ビーチチェアを玉座のように独占する“王様”と出会いました。
 世界中どこでもネコは人とのつながりを感じさせます。イタリアでは階段の上で朝日を浴びるダンディーなオスを見ました。香川ではうどんを上手にすするグルメもいましたね。
 ネコを撮る時、多くの人は顔に目が行くと思いますが、僕は全身から醸し出す雰囲気を大事にしています。行儀よく置いた前足、あおむけに寝た時の柔らかそうなおなかの毛。視点を変えれば個性的な写真になっていきます。
 今、わが家にはキジトラネコの兄弟がいます。彼らのことを同じ目線で見つめる毎日です。
〈2022.04.20 あなたの静岡新聞〉

岩合さんの作品ちょっとだけお見せします【写真特集】

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アラブ首長国連邦/アルアイン

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リオデジャネイロ/コパカバーナ

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ニューヨーク/ブルックリン

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世界各地で撮影された猫の写真=三島市の佐野美術館
地域再生大賞