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定番土産に成長「バリ勝男クン。」 75周年シーラックの歩み

 静岡土産の定番「バリ勝男クン。」を看板商品の一つとする焼津市の水産加工食品製造販売シーラックは、今年で設立75年の節目を迎えます。同社の経営方針やこれまでの取り組みについて1ページにまとめました。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・村松響子〉

富士宮やきそば味 観光客需要を見込み、限定発売

 焼津市の水産加工食品製造販売シーラックは19日、人気のかつおぶしチップ「バリ勝男クン。」の富士宮やきそば味を数量限定で発売する。

19日から発売する「バリ勝男クン。富士宮やきそば味」
19日から発売する「バリ勝男クン。富士宮やきそば味」
 やきそばソース、サバの削り、あおさを入れ、富士宮やきそばの味を再現した。春休みからゴールデンウイークにかけて、静岡県内への観光客需要を見込み、約3万食限定で発売する。
 価格は162円(税込み)。静岡県内の駅売店、東名高速道サービスエリアやパーキングエリア、ホテルや道の駅などの土産物売り場で販売する。
 〈2022.3.19 あなたの静岡新聞〉

2010年発売 オリジナルのキャラクターや歌で若者に訴求

若い世代のニーズを考えて開発した「バリ勝男くん」※2010年当時
若い世代のニーズを考えて開発した「バリ勝男くん」※2010年当時
 ■2010年11月の静岡新聞朝刊から
 水産加工食品製造のシーラック(焼津市、望月洋平社長)が開発した鰹(かつお)節のスナック食品「バリ勝男(かつお)くん」が、本年度の「全国水産加工品品評会」で東京都知事賞を受賞した。若者向けに工夫を凝らした味やパッケージが奏功し、20~30代を中心に人気を呼んでいる。
  「若い人に鰹節を食べてもらいたい」(望月社長)との一念でマーケティングを重ね、ビールに合うおつまみ感覚のスナックを考案。焼津産鰹節チップをショウガじょうゆなど13種類の調味料で味付けし、オーブンで焼き上げた。
  オリジナルのキャラクターや歌も制作し、パッケージには漫画を印刷。焼津の鰹節を遊び心あふれる楽しいイメージで発信する。
  9月下旬から県内のコンビニエンスストアで販売中で、12月中旬から全国展開が決まった。今後、受験生向けパッケージの第2弾商品も投入する。贈答用が主力の同社にとって、コンビニ展開の小売商品は今回が初めてという。
  同品評会には全国から1416点が出品。東京都知事賞は農林水産大臣賞、水産庁長官賞に次ぐ賞で、19日に表彰される。
 〈2010.11.19 静岡新聞朝刊〉

商品通じ、存在意義示す 望月洋平社長インタビュー

 明治時代にかつお節製造業として創業。今年は1946年に会社を設立してから75年の節目を迎える。2010年に発売した「バリ勝男クン。」は看板商品に育った。今後の経営方針などについて聞いた。

望月洋平社長
望月洋平社長
 ―会社設立75年になるが経営方針は。
 「商品を通じて存在意義のある会社にしようと心掛けている。かつては下請け仕事が主で、価格が全ての物差しだった。社長就任してから、どこの会社でもできる仕事はしない、当社にしかできない仕事をすると決めた。『バリ勝男クン。』は最初の個人向け商品。当社の技術や知恵が詰まっている。商品を通じて、消費者に付加価値を提供したい」
 ―シーラックの強みとは。
 「創業以来培ったかつお節製造のノウハウは最大の強み。かつお節は全ての食べ物の原点。その素材をベースに加工すれば、あらゆる製品を生み出すことができる。最近の消費者はかつお節を削ることをしない。削って食べない人たちにも使いやすいような商品づくりを目指す」
 ―新型コロナ禍の影響は。
 「全体の売り上げは大きく落ち込んでいる。お土産需要の減退に伴い、『バリ勝男クン。』などの売れ行きが伸び悩んでいる。冠婚葬祭関連商品の落ち込みは深刻だ。ただ、当社にしかできない仕事をするという方針は変えずにいたい。攻めの姿勢は崩さず、コロナ禍が明ける時に備えて、新しい食材作り、商品開発に取り組んでいる」
 
 もちづき・ようへい エスエスケイフーズを経て、2003年に入社。07年取締役、09年から現職。焼津市出身。44歳。
 〈2022.06.01  あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞