富士の大祭中止、だるま2万個行き場失う 製造元、対応に奔走

 富士市の妙法寺で2月開催予定だった「日本三大だるま市」として知られる毘沙門天(びしゃもんてん)大祭が新型コロナウイルス感染拡大で中止が決まり、大祭に出荷している地元の主要なだるま製造元・杉山ダルマ店(富士宮市)が準備していた2万個のだるまが行き場を失った。芦川博将代表は「コロナで店をつぶすわけにはいかない」と力を込め、自店での直売や売り先確保に奔走する。

作業場に積み上げられた、だるまを手にする芦川博将代表=2020年12月下旬、富士宮市宮原
作業場に積み上げられた、だるまを手にする芦川博将代表=2020年12月下旬、富士宮市宮原

 ▶「だるま市」富士・毘沙門天大祭中止
 大小さまざまなだるまが同店の作業場や倉庫には積み上げられたまま。芦川代表は「だるま製造一本なので厳しい」と声を落とす。祖父の代に始めただるまの製造は100年を迎える。当時から大祭に出店してきた。
 同店では毎年、大祭に向けて2万個超のだるまを製造し、約20軒の販売店に卸したり、自店でも露店を出したりしている。大祭での販売が年間売り上げの8割超といい、中止による打撃は大きい。
 「だるまは縁起物。暗くなってもしょうがない」。常連客らの注文を励みに芦川代表は気持ちを切り替え、作業場にのぼり旗を立てて直売を呼び掛けるチラシを作成した。各地にチラシを配布して集客に回るほか新たな売り場や販路拡大を急いでいる。今回新たに富士山本宮浅間大社の初詣に出店した。
 疫病退散の御利益もあるとされるだるま。芦川代表はコロナ収束に願いを込め、「また大祭でお客さんの笑顔が見られるよう乗り越えたい」と前を向く。

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