熱海土石流“無傷”の地蔵 紙から造られていた 上原美術館・田島さん調査

 熱海市伊豆山で7月に発生した大規模土石流で被災した地蔵堂から奇跡的に“救出”された逢初(あいぞめ)地蔵堂本尊が、紙で造られていることが14日までに、上原美術館(下田市)の田島整主任学芸員の調査で分かった。紙を練り込んで造られた仏像は全国に数点あるが、田島学芸員によると、県内では極めて珍しいという。

紙で造られていたことが判明した逢初地蔵堂本尊=熱海市伊豆山
紙で造られていたことが判明した逢初地蔵堂本尊=熱海市伊豆山
逢初地蔵堂本尊について解説する田島主任学芸員=熱海市
逢初地蔵堂本尊について解説する田島主任学芸員=熱海市
紙で造られていたことが判明した逢初地蔵堂本尊=熱海市伊豆山
逢初地蔵堂本尊について解説する田島主任学芸員=熱海市

 13日に熱海市で開かれた講演会で明らかにした。本尊が安置されていた地蔵堂は国道135号の逢初橋付近にあり、大量の土砂で外壁などが損壊した。しかし本尊は無傷で見つかり、現在は近くの施設に保管されている。
 本尊は源頼朝の長女大姫の病が治ることを祈り北条政子が書写した経文を練り上げて造ったとの伝説がある。
 田島学芸員によると1590年の豊臣秀吉による小田原征伐の際、伊豆山は焼き打ちに遭い、本尊は消失した。しかし1725年、伊豆山の寺院「般若院」の僧侶が地蔵堂を立て直し、経文を練り上げて本尊を造ったという。田島学芸員が10月に調査した際、本尊の一部に「般若院」などと記された紙が張り合わされているのが見つかった。田島学芸員は「文化財指定はされていないが、極めて貴重な仏像。地域の誇りになると思う」と語った。地蔵堂は現在、地元NPO法人が修復作業を進めている。

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