盛り土「小田原」出どころか 静大・北村教授(地質学)が分析

 熱海市伊豆山の大規模土石流で崩落した盛り土付近の土石を採取し、成分などを分析してきた静岡大防災総合センター長の北村晃寿教授(地質学)が3日までに、調査結果をまとめた。採取した貝殻が分布する地層に神奈川県小田原市内の下流域を挙げ、伊豆山に運び込まれた土砂の出どころと推定した。

土石流発生から4カ月が経過した現場。行方不明者の捜索が続く=3日午前、熱海市伊豆山
土石流発生から4カ月が経過した現場。行方不明者の捜索が続く=3日午前、熱海市伊豆山

 盛り土を造成した小田原市内の不動産管理会社は熱海市のほか、神奈川県西部の各地でも土地改変や宅地造成を繰り返していたとされ、建設残土などが伊豆山に運び込まれた可能性が高まった。
 調査結果は、盛り土の供給源の土砂を使った土石流の再現実験などでも重要な役割を果たすとみられる。
 北村教授は9月3日、崩落を免れた部分の盛り土の2カ所から堆積物を採取した。さらに実際に流れ出た土砂の成分を調べるため、崩落現場の直下の地点でも試料を取った。
 北村教授によると、盛り土からは比較的崩れやすいとされる丸い形状の石をはじめ、アサリなど複数種の貝殻が含まれていた。放射性炭素の存在比などから土砂の年代を推定した上で、想定される候補地の地層の特徴などと照らし合わせた結果、論文から1990~2000年代に採土を行った実績が判明した小田原市の中村川下流域の下原層が出どころの一つとの見方を示した。

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