社会部 荻島浩太
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サイバーテロ対策強化 官民連携、静岡県警など協議会
静岡県警や静岡県内の重要インフラ事業者でつくる静岡県サイバーテロ対策協議会は28日、総会を県庁で開いた。会員23事業者から34人が参加し、講演と対処訓練を通じて身代金要求型の不正プログラム「ランサムウエア」など最新サイバー攻撃の情勢について知識を深めた。 会長の真野義文静岡県警公安課長はランサムウエアの脅威が企業、団体を問わずに拡大している現状を捉え、「手口は悪質化、多様化し、被害に遭えば自社だけでなく国益にも関わってくる」と強調。官民一体での連携強化の重要性を改めて訴え、「警察への通報態勢を徹底してほしい。皆さんの対策強化が県民の安全安心につながる」と期待した。 講演は、県警サイバー犯
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特殊詐欺の新手口「ネットバンキング」注意! 静岡県内で高額被害相次ぐ 県警が注意呼びかけ
後を絶たない特殊詐欺被害で、警察官や検事を名乗った男らにネットバンキングでの現金振り込みを指示され、1千万円以上の高額をだまし取られる新たな手口の被害発生が静岡県内で相次いでいる。金融機関やコンビニ店がATM周辺での警戒を強化する中、詐欺グループは自宅でも携帯電話で振り込めるネットバンキングのシステムを悪用したとみられる。県警は新手口を周知するチラシを急きょ作成し、「警察官や検事が口座を作らせたり、お金を振り込ませたりすることはない」と注意を呼びかける。 同様の手口で15日までに、浜松市西区の60代無職女性が今年最高額の約6千万円、静岡市清水区の60代無職女性が約1300万円をだまし取られ
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還付金詐欺に注意を 22年被害急増の11月 静岡県警、ATM付近で警戒強化 入り口は「固定電話」
特殊詐欺被害が昨年、11月に急増したことを受け、静岡県警が県全域で啓発を強化している。特に今年多発している還付金詐欺の手口への警戒を強め、13日以降を強化週間に位置付けてATM付近での巡回や広報活動などを積極展開する。 県内の2023年の特殊詐欺被害状況は、11月6日時点で件数が303件(前年同期比51件減)、被害額が5億8412万円(同1億4615万円減)。ただ、22年は11月だけで月別最多の47件が発生し、月別被害の過去5年間の累計を比較しても、11月の被害総数は3月、2月、4月に次いで4番目に多いという。 23年の還付金詐欺は、前年同期比26件増の76件。市役所や町役場の職員を名乗
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静岡県警、業務のDX推進へ ビジョン策定 展示会で先端技術把握
静岡県警は警察業務のDX推進に向け、2031年度までの中長期的な取り組みビジョンを策定した。県民の利便性向上と業務の合理・高度化には「人的資源の効果的活用と安全安心のさらなる確保」が欠かせないとの目標姿勢を掲げ、23~25年度を第1期の挑戦ステージに設定。8日には民間企業の先端技術を集めた展示会を県警本部で開き、各部署の担当者や幹部ら約240人が災害対応や犯罪被害防止、捜査支援などへの導入に向けて知識を深めた。 ビジョンでは、25年度までにアナログ業務から脱却し、業務プロセスやシステム全体のデジタル化を目指す。基本方針に沿った方向性の3本柱には「職員の意識改革と部門横断的なデジタル人材の育
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虐待防止へ合同演習 静岡県警と児相 連携実践的に確認
静岡県警と県内七つの児童相談所(児相)、静岡地検などは6日、児童虐待の防止に向けた合同研修会を藤枝市の県警察学校で行った。虐待が疑われる家庭に許可状を持って強制的に立ち入り、児童の安否を確認して一時保護などをする「臨検・捜索」演習に臨み、児相職員が保護者から暴力行為などを受けた際の通報、対応手順も実践的に確かめた。 臨検捜索の演習は敷地内の模擬家屋を活用。ネグレクト(育児放棄)の母親が出頭要求や立ち入り調査などに応じないとの想定で、裁判所の許可状を示した上で自宅内に踏み込んだ。 母親の連絡で姿を現した交際相手の男が許可状を破るなどして妨害すると、警察官役が男を現行犯逮捕。児相職員らは7歳
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静岡県内「ヤード」行政指導75件 4年ぶり一斉立ち入り 県警など
静岡県警に加え、県や市町でつくる県不用品回収拠点対策連絡協議会や県内消防などは今月、周囲を鉄壁などで囲んだ「ヤード」と呼ばれる作業場の県内一斉立ち入り調査を行った。一斉実施は4年ぶりで、57カ所で計75件の行政指導を行った。県警薬物銃器国際捜査課が県内で把握する外国人関連のヤードは現在約170カ所あり、過去十数年間で5倍超に増えた。担当幹部は「不法行為の隠れみのにならないよう、継続調査の徹底と関係機関との連携強化を進めたい」と話す。 「金属などの搬入物に違和感を感じたりしたら、すぐに警察へ通報を」 「盗難品は見ればすぐに分かる。こっちもトラブルには絶対巻き込まれたくないので、すぐに連絡
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静岡県警と静岡県警備業協会が初訓練 イベント会場 テロ対策で連携
大規模イベント会場を狙ったテロ行為などへの対策強化の一環で、県警と県警備業協会は24日、初の連携訓練を静岡市清水区の清水庵原球場駐車場で行った。手荷物検査時の不審者対応や車両突入防止を想定した実践的な訓練を通じ、新型コロナウイルスの5類移行で続々と復活する各種イベント現場での対応力向上を図るとともに、関係機関における情報共有のあり方や通報の手順も確認した。 「手荷物検査にご協力頂けないと、会場内には入れません。どうか冷静に」 「なんで見せなきゃなんねーんだ。個人情報だ」 不審者対応の一場面。警備員の依頼を、来場者役の警察官が拒否する。警備員は一定の距離感を保ち、丁寧な言葉遣いで協力を求め
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自転車ヘルメット推進議論 静岡県が防犯・交通安全本部会議
静岡県は17日、防犯まちづくり・交通安全庁内推進本部会議(本部長・森貴志副知事)を県庁で開いた。増加傾向に転じている県内の刑法犯認知件数への対策状況について県、県教委、県警の幹部が情報を共有したほか、努力義務化された自転車乗車時のヘルメット着用の推進策などを議論した。 1~8月の刑法犯認知件数は6割以上を窃盗犯が占め、自転車盗や万引の増加が目立つ。特徴として、自転車盗は3階建て以下の集合住宅の駐輪場に置く無施錠の自転車が被害に遭う傾向が強く、物欲を理由に食料品を万引する高齢層の割合も増えているという。 森副知事は「安心安全なまちづくりは、移住促進や企業・観光誘致のアピールにもなる。各部局
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秋の交通安全運動スタート 清水署など雨が降る中、出陣式
歩行者の安全確保や夕暮れ時の交通事故防止などを重点に掲げた「秋の全国交通安全運動」が21日、始まった。静岡県内でも県、市町など関係機関が街頭啓発を展開し、県警は指導取り締まりも強化する。30日まで。 運動の重点は「こどもと高齢者をはじめとする歩行者の安全確保」「夕暮れ時と夜間の交通事故防止、飲酒運転などの根絶」「自転車などのヘルメット着用と交通ルール順守の徹底」。 県警交通企画課によると、今年の県内の人身事故は20日現在、前年同期比87件増の1万3058件、死者が4人増の50人、負傷者は128人増の1万6608人。死者の5割超を占める27人が高齢者。 初日は早朝から雨が降る中、静岡市交
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JA関係団体が交通安全運動促進へ 静岡県警に宣言書提出
秋の全国交通安全運動(21~30日)を前に、JA共済連静岡とJA静岡中央会など静岡県内のJA関係計14団体が11日、役職員とその家族の1244世帯3143人が署名した交通安全宣言書を県警に提出した。 共済連静岡の中野重弘本部長と静岡中央会の杉山和陽常務理事が県警本部を訪れ、加藤悟交通部長に宣言書を手渡した。加藤部長は「日ごろからの協力に感謝する。県民の模範となるよう引き続きの活動をお願いしたい」と期待した。 提出は1981年から毎年秋に続け、42回目。
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富士山の遭難急増 水難事故、河川が大幅減 静岡県内夏季
静岡県警は14日、今年の夏季(7~8月)における県内の山岳遭難発生件数は76件と前年同期比で21件増加し、全体の約8割を富士山(61件)が占めたと発表した。態様別では病気や転倒、疲労が約7割に上り、遭難者の約4割が60代以上だった。水難事故の発生は同3件減の22件で、河川での発生が大幅に減った。 県警地域課によると、山岳遭難者数は85人(前年同期比28人増)で、うち富士山が64人(同16人増)で南アルプスが7人(同2人増)。死者は1人で、富士山で病気で亡くなった。 態様別では、病気の26人に次いで転倒が22人、疲労が13人と続いた。 富士山の遭難者64人は2012年以降で3番目の多さで
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サイバー攻撃の脅威理解 県警など静岡で講座 「被害あれば早期通報」
静岡県警と損害保険ジャパンは7日、サイバーセキュリティーセミナーを静岡市葵区で共同開催した。県内企業の経営者や情報システム部門の責任者らが、サイバー犯罪の現状や対策などについて知識を深めた。 県警サイバー犯罪対策課の稲葉正人警部は、企業や病院を狙った身代金要求型の不正プログラム「ランサムウエア」の脅威と感染時の対処法を解説。啓発動画の視聴などを通じ、経営者としてサイバーセキュリティー意識を高め、態勢整備と基本対策に必要な投資をする姿勢が重要と説いた。 戸塚浩之課長はあいさつで「サイバー攻撃を巡る情勢は極めて深刻で、ランサムウエアなどは国境を越えてどこで起きてもおかしくない。対策に力を入れると
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記者コラム「清流」 スマホとの距離感
「小学3、4年生でもスマホを持つ時代。持つ前に、親子で一緒にSNSやゲームの使い方について無理のないルール作りを」。夏休みに向けた県警の啓発方針を取材中、担当者から利用開始時期の低年齢化が急速に進む実態と、親の対応の在り方を聞いた。 担当者によると「子どもは親の言動を常に確かめている。理不尽に怒ったりは絶対ダメ」だそうだ。しかられた子の反論に返す典型的な悪例が「大人だからいいの」や「携帯代払っているの誰。○○関係で至急必要になった」などだろう。 自身においては動画視聴はもっぱらテレビの“大画面”だ。SNSを駆使するスキルもない。「テレビの方が迫力ある」「携帯開始は
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コロナ禍越え活動活発 しずおかランニングパトロール5年
ランニングをしながら地域を見守る「しずおかランニングパトロール(SRP)」は今秋、開始から丸5年を迎える。登録ランナーの増加と活動拠点の拡充に加え、協賛企業や教育現場による協力態勢の構築が進み、認知度は県内各地で高まっている。新型コロナウイルスの5類移行もあってランナー同士の交流機会が増えつつある中、10月からは第5期がスタート。新たな仲間を加えた見守り活動の活発化が期待される。 (社会部・薬袋貴信、荻島浩太) 拠点拡充、地域に浸透 交流深め「輪」広げる 波楽しみながら地域を見守る袋井・掛川エリアの登録ランナーと活動をサポートする袋井署員ら=3月下旬、袋井市 「長続きするには、みん
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テロ対策の機運醸成 イベント会社が静岡県警に宣言書
新型コロナウイルスの5類移行で静岡県内でもイベント開催が復活する中、県警はテロ対策徹底の機運醸成に向け、県内のイベント会社などとの連携を強化している。18日には県警本部を訪れたイベント運営・施工の望月商事(静岡市駿河区)の望月敬晃社長が、高橋誠警備部長にテロ対策宣言書を提出し、来場者の安全や安心の確保に向けた協力を誓った。 安倍晋三元首相の襲撃事件など国内でも不特定多数を狙った凶悪事件が相次ぎ、静岡市葵区では11日、歩行者天国に乗用車が突っ込む殺人未遂事件が発生。夏祭りに加え、各種大規模イベントは今後も続々と復活することが予想され、運営・施工会社などと連携を強めて対策の徹底を図る。県警への
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電動キックボードのルール順守啓発 静岡県内夏の交通安全運動開始
夏の交通安全県民運動が11日、県内各地でスタートした。「子どもと高齢者の交通事故防止」「飲酒運転等危険運転の根絶」を運動の重点に掲げたほか、道交法改正で1日に規制が緩和された「電動キックボード」や自転車などの安全利用促進にも力を入れる。20日までの期間中、警察や行政、関係団体が連携し、事故防止と交通ルール順守の徹底を呼びかける。 静岡市葵区の駿府城公園内で出発式があり、約60人が参加した。県警の大原光博本部長は、子どもと高齢者の交通事故被害が増加傾向にある現状に触れ「夏休みの行楽シーズンで旅行や規制に伴う重大事故の増加が懸念される。飲酒など悪質な運転は強力に取り締まる」とあいさつ。電動キッ
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記者コラム「清流」 使い方誤れば悲劇生む
スマホゲーム「ポケモンGO(ゴー)」で遊びながら運転していた男のトラックが愛知県一宮市で2016年10月、帰宅途中の小学4年生の男児をはね、命を奪った。30代男の「ながら運転」は常習的だったという。 県警や県などでつくる県犯罪被害者支援連絡協議会幹事会で、父則竹崇智さんが講演した。次男と交わした最後の言葉、へこんだ水筒、目撃した兄や家族の心境…。その全てを「語り継いで子どもたちを守ることが使命」と、特別支援学校教諭の則竹さんは事故後、講演活動を続けてきた。 そんな則竹さんへSNSでの誹謗(ひぼう)中傷もあったと聞き、「そんな世の中でいいのか」と悲しくなった。ゲームやSNSが
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熱海土石流の経験「継承」 災害想定、静岡県警が対応訓練
静岡県警は27日、大規模な土石流や水害現場などでの迅速で安全な人命救助につなげる訓練を静岡市駿河区の機動隊グラウンドで行った。発生直後から県内外へ出動する県警災害派遣隊の広域緊急援助隊警備部隊と緊急災害警備隊の計150人が、各種訓練を通じ技能向上と連携強化を図った。 巨大地震に加え、近年全国各地で多発する水害への備えを重点に置き、がれきの下や高所など多彩な場面設定で要救助者を救い出す訓練を重ねた。熱海市伊豆山の大規模土石流発生から7月3日で2年が経過することを踏まえ、各種被災現場での的確な対応手順を把握し、指揮所設置の流れを把握。チェーンソーなど資機材の点検も徹底した。 21日には同所で
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軽快な演奏で自転車ヘルメット着用PR 静岡県警音楽隊
静岡県警音楽隊は17日、静岡市葵区の駿府城公園でコンサートを開き、軽快な演奏と踊りで市民らを楽しませた。隊員17人が人気アニメの主題歌や往年の名曲を次々と奏で、カラーガード2人は華麗な演舞で魅了した。演奏の合間には、4月から始まった自転車乗車時のヘルメット着用努力義務化に関する啓発や採用募集活動を行った。ヘルメットを装着した警察官が会場で着用の効果などを解説し、観客の関心を引きつけた。 音楽隊では今春からカラーガードが1人減り、希望者を随時募集している。
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静岡県内各地で自転車盗多発 前年比148件増、人流増加が影響か 横断幕で県警注意喚起
静岡県内各地で自転車の盗難被害が急増している。新型コロナウイルス感染拡大が落ち着き、人の動きが増していることが主因とされ、県警と県防犯協会連合会は啓発品として横断幕200枚を作った。県内各署の駅前や街頭に掲げ、自転車利用者のヘルメット着用努力義務化の広報活動と連動して施錠対策の徹底を図る。 県警によると、今年の自転車盗の被害は8日現在で前年同期比148件増の768件。増加傾向は2年連続で、大半が無施錠という。自転車利用者らがコロナ禍前の水準に戻りつつある中、大型連休明けの被害も多数確認されている。 横断幕は横140センチ、縦40センチのピンク色で、黒のフェンスなどに掲示しても目立つように