記者コラム「清流」 視覚障害者の卓越した力

 東京パラリンピック5人制サッカーブラジル代表の浜松市での事前合宿に、ボランティアとして参加した。8月の暑さの中、全盲の選手が全力疾走する迫力に感動した。
 付近の選手に激突しないか。ゴールの方角は分かるのか。そんな素人の疑問を吹き飛ばすように四方八方に走る。味方も敵も自分の位置を知らせるために声を出す。ボールはカシャカシャと音を立てる。同時に聞き分けて、位置を把握して空いたスペースに駆け込む。
 「アリガトウ!」。観客席で見守るボランティアに、選手たちは笑顔で手を振ってくれた。彼らの空間認知能力は健常者の想像を超える。パラリンピックをきっかけに、障害者の多様な特徴や優れた能力について、もっと知りたくなった。
 

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