ずさんな実態明らか 熱海土石流、静岡県公表写真から読み解く

 盛り土の崩落が被害を拡大させたとされる熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、静岡県が発生原因を調べる検証委員会で10日までに公表した過去の写真から、造成の経緯が明らかになってきた。土地所有者が変わった2011年2月より前に造成はほぼ完了。排水不良なども確認され、ずさんな工事の実態が浮き彫りになっている。

▶2006年9月 土石流起点付近を撮影した航空写真。盛り土部分は森林のままで、造成は始まっていない
▶2006年9月 土石流起点付近を撮影した航空写真。盛り土部分は森林のままで、造成は始まっていない

 06年9月の航空写真を見ると、盛り土部分は森林のままで造成が始まっていない。07年5月になると森林が伐採され、09年10月には谷に残土(工事で出る不要な土砂)が運び込まれていた様子が分かる。10年10月にはその残土が盛り土として整えられ、表面に段差が造られていた。11年3月に盛り土は数十メートルの高さに積み上がり、12年4月には表面に水たまりができて排水が十分でない状況が見受けられる。
 公表された写真は主に県の出先機関の職員が撮影し、庁内の報告書に添付していた。ずさんな工事を把握しながら県や熱海市がなぜ止められなかったのかも今後焦点になりそうだ。県は行政手続きの資料を精査中で、10月中旬までに事実関係を整理して公表する。
■公表された過去の写真
▶2007年5月
  盛り土のあった谷を撮影した写真。この時点で盛り土は確認できないが、森林が伐採されている
autumn2021
▶2009年10月
  谷に残土が搬入され、埋め立てられている
autumn2021
▶2010年10月
  残土の搬入と盛り土の造成がほぼ終了したとみられる
autumn2021
▶2011年3月
  段差を付けた盛り土が造成され、高さ数10メートルに積み上げられている
autumn2021
▶2012年4月
  盛り土の表面に水たまりができ、排水が十分できていない
autumn2021

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