健康経営 無理なく効率的に デジタル活用、産業医連携 各社、意識高揚図る

 従業員の健康増進を企業の生産性向上につなげる「健康経営」の取り組みが県内で広がっている。産業医との連携やデジタル技術の活用によって社員が自身の健康状態に目を向け、運動や食事管理につなげるなど多様な仕組みづくりが各社で進む。勤務中の隙間時間も使いながら、無理なく効率的な健康意識の高揚を図る。

タブレット端末の画面越しに診察を受ける職員=3月中旬、静岡市の静清信用金庫
タブレット端末の画面越しに診察を受ける職員=3月中旬、静岡市の静清信用金庫


 静清信用金庫は1月、就業時間中のオンライン診療を開始した。受診対象の症状はアレルギー、便秘、睡眠時無呼吸症候群(SAS)。花粉症に悩む職員の大石彩子さんは3月中旬、職場でタブレット端末の画面越しに数分間の問診を受けた。処方薬は指定の薬局で受け取れ、「待ち時間がなくて便利。仕事を休む必要もない」と満足げだ。
 産業医の大石内科循環器科医院(静岡市)に事前予約すると、勤務中でもパソコンやタブレット、スマートフォンで受診が可能。料金は事前登録したクレジットカードで支払い、希望すれば薬の配送も受けられる。同金庫は今後、人間ドックや健康診断の再検査にもオンライン診療を採用し、「面倒くさがる職員に利用を促したい」としている。
 しずおかフィナンシャルグループは約6千人の全社員にスマートウオッチを配布し、歩数や心拍の計測などを通じて健康意識を高めている。各自が体重や食事、運動習慣などを入力するスマホアプリも取り入れ、「1日8千歩」など健康的な取り組みに対してポイントを付与。旅行や医療、育児などのサービスを利用するとキャッシュバックが受けられる仕組みで、担当者は「社員の健康が会社の活性化につながる」と一層の利用を呼びかける。
 TOKAIグループも産業医や外部の専門家と連携し、検診データなどを多角的に分析して健康リスクの軽減を図る。鈴与商事は全社的なウオーキングイベントの開催や有給休暇取得推進運動などに取り組む。
 (経済部・金野真仁)

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