市外からUターン就職32% 静岡市調査 転職や起業支援強化

 静岡市が独自に実施した若者の就職先に関する実態調査で、2023年3月に大学や専門学校を卒業した同市出身者のうち、市外から市内にUターン就職したのは32・0%だった。10日までの市への取材で分かった。市内へのUIJターンを考えるきっかけとして、子育て環境の見直しや両親の世話を挙げる市内出身者が多いことも分かり、市は企業誘致に加え、市内への転職や起業の促進、部局をまたいだ連携に力を入れていく方針という。

2023年3月に大学などを卒業した静岡市出身者の就職先の内訳
2023年3月に大学などを卒業した静岡市出身者の就職先の内訳


 2種類の調査を行い、一つは23年3月に大学や専門学校を卒業した同市出身者の高校卒業後の進学、就職先を調べた。もう一つは市内出身の20~30代に対するUIJターンに関するウェブアンケートを実施した。
 進学先と就職先の調査では、市内の高校に生徒の進学先を確認した上で、進学先を通じて就職先の把握を図った。県内外の大学や専門学校216校に調査票を送付し、80校から1216人分の有効回答を得た(有効回答率37・0%)。
 回答によると、進学先は市内697人(57・3%)、市外144人(11・8%)、県外375人(30・8%)だった。卒業後の就職先は市内591人(48・6%)、市外195人(16・0%)、県外は430人(35・4%)。市内に就職した591人のうち、市内の大学などの卒業生は425人で全体の61・0%。市外、県外の大学などの卒業生は166人で全体の32・0%にとどまり、市外に進学した市内出身者のうち約7割は地元に戻っていなかった。
 UIJターンに関するアンケートは市内出身の20~30代の社会人を対象にウェブ上で実施し、403人から回答を得た。このうち、市外に勤務しているのは45人(14・4%)で、理由に「志望する企業や職種がない」を挙げる回答が多かった。市商業労政課の担当者はサンプル数が少なく参考程度だとした上で、「静岡市以外の地方でも同じような回答が多い」と全国的な傾向だと説明。市内の高校などと連携し、学生に市内企業の魅力を発信する必要があると強調した。
 一方、転職経験については224人(55・6%)が「あり」と回答するなど半数を超え、担当者は「新卒だけでなく、第二新卒や中途採用の促進も人材確保に有効だ」と話した。
 市はこれまで、市内出身の学生のUターン率を把握していなかった。サンプル数を増やす工夫を検討しながら、今後も調査を継続する方針という。
 (政治部・池谷遥子)

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