記者コラム「清流」 伝統行事継承の難しさ

 静岡県指定の無形民俗文化財・西伊豆町宇久須の牛越神社の人形三番叟(さんばそう)が今秋、休止となった。住民は「教える側の高齢化や若者の流出で継続が難しい」と吐露する。地域を象徴する伝統行事がなくなるのは寂しい。だが継承するのも容易ではない。
 最古の記録では江戸時代中期に奉納されたとされ、3人一組で1メートルほどの人形1体を巧みに操る。技術や体力がいるので、まとまった練習時間が必要という。舞を簡略化したり、町外から参加者を募ったりするのも一手かもしれないが、議論の余地があるだろう。
 思い出のある催しがもしなくなることになったら、やはり切ない。行事は地域への帰属意識につながる。人形三番叟は住民間で今後の在り方を模索するという。地域にとっての最適な運営法を考えたい。
(松崎支局・太田達也)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞