新型コロナ、インフル 静岡県内で同時流行の兆し 相次ぐ学級・学年閉鎖

 新型コロナウイルスの感染拡大警報が続く中、流行期に入ったインフルエンザの感染者が急増している。15日に県が発表した週報では、定点医療機関あたりの患者数は4・79人、1日推計685人と前週の倍以上に膨らみ、注意報の「10人」に近づいた。新型コロナウイルスは23・83人(同3千人)。県は「慎重に動向をみていく」とするが、双方の学級閉鎖も県内で相次ぐ中、発熱外来では「同時流行」を指摘する声がある。

県内の新型コロナとインフルエンザ同時流行の状況
県内の新型コロナとインフルエンザ同時流行の状況
インフルエンザと新型コロナウイルスの両方の検査薬の結果を見て、車内待機している患者に電話連絡する飯泉哲哉院長(左)=14日、富士市のいいずみファミリークリニック(写真の一部を加工しています)
インフルエンザと新型コロナウイルスの両方の検査薬の結果を見て、車内待機している患者に電話連絡する飯泉哲哉院長(左)=14日、富士市のいいずみファミリークリニック(写真の一部を加工しています)
県内の新型コロナとインフルエンザ同時流行の状況
インフルエンザと新型コロナウイルスの両方の検査薬の結果を見て、車内待機している患者に電話連絡する飯泉哲哉院長(左)=14日、富士市のいいずみファミリークリニック(写真の一部を加工しています)

 「新たな段階に入っている」。富士市の小児科・内科のいいずみファミリークリニックの飯泉哲哉院長は現状を注視する。14日、発熱対応の時間帯。家族連れの患者が多数受診し、看護師らが順番整理や検査に追われた。同院で9月に診た陽性者の内訳は9割がコロナ、1割がインフルエンザと圧倒的にコロナが多い。発熱など症状が似ているため基本的に両方の検査を行うが、患者が最近かかった感染症については対象としないため、看護師の聞き取りなど、従来にはなかった作業が生じているという。
 同院では8月、肺疾患の既往症があり酸素投与が必要になった成人のコロナ患者の救急搬送先が一時見つからなくなり、40キロ以上離れた他市の総合病院に搬送したことがあった。飯泉院長は「今後同時流行が加速した場合、紹介が必要な重症患者の受け入れ先が見つからない事態が最も怖い」と懸念を示す。
 学校では夏休み明けの9月から、学級・学年閉鎖が相次ぐ。県教委と浜松、静岡の両市教委によると、14日判明分でコロナの閉鎖数は小中学校、高校で計135学級18学年。インフルエンザは96学級14学年。学校閉鎖は1校みられた。インフルの患者数は4日のシーズン入りから10日間で1100人を超える異例の事態となっている。
 専門家からは流行の背景に、コロナにより一斉休校があった2020年から23年春までの間、学校などで感染対策が強化された影響で集団免疫が低下したことや、インフルエンザワクチンの有効期間が切れていること―などが示されている。学級閉鎖があった学校の一部では、独自に児童生徒にマスク着用を求める動きもみられる。

ピークは程遠く 冷静な行動を
 第一種感染症指定医療機関である静岡市立静岡病院で感染管理室長を務める岩井一也医師の話 定点医療機関1カ所あたりが診るインフルエンザ患者は、直近1週間で5人を下回る程度。過去の最大値は69人であり、ピークには程遠い。冷静になってほしい。学校などでは過度な対策で制限を掛けぬよう配慮すべきだ。
 私が一番心配しているのは、県民が不安になり、軽症の人が病院に押し寄せることだ。医療資源は限りがある。本来医療が必要な人に労力を割くことができなくなってしまう。

あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞