静岡市 田辺前市長の責任明確化 台風15号対応検証 改定版公表

 静岡市は10日、2022年9月に発生した台風15号に関する行政対応の検証結果の改定版を公表した。災害対策本部の設置が遅れた原因について、「市長は対策本部の速やかな設置について自ら判断すべきであった」と、今年3月に公表した最終報告になかった記述を新たに加え、当時の田辺信宏市長の責任を明確化した。

静岡市役所
静岡市役所

 改定版では、市長に対策本部設置を進言すべきは「危機管理統括監だった」と幹部の役割も明記し、これまでの「危機管理総室の職員が実務に忙殺されたため進言できなかった」と読み取れる文章を改めた。3月の報告書で「コロナ対応に追われ、風水害を対象とした訓練を行わなかったため」とした原因分析の記述は「直接的な原因ではない」と削除した。
 被害判明から2日後になった自衛隊への派遣要請については、原因分析に「自衛隊派遣要請の三要件を非常に重く受け止めすぎてしまった」「医療機関の水不足の覚知が遅れた」の2点を加えた。今後の対策についても、3月の報告書の「関係機関との対応状況などを積極的に情報発信するための役割分担や手順を定める」との曖昧な記述から、「市民の生命および財産を脅かす恐れがある場合など派遣要請の必要性を早期に見極めた上で決定する」との文章に修正した。
 4月に就任した難波喬司市長は同月の定例記者会見で、台風15号対応の最終報告書について「今後の対策が不十分」と指摘し、検証の見直しを職員に指示していた。
 (政治部・尾原崇也)

対応力強化へ実施計画 市策定
 静岡市は、2022年9月の台風15号に関する行政対応の検証結果を改定したのに合わせ、今後実施すべき対策を網羅した「災害対応力強化実施計画」を策定した。難波喬司市長が10日の定例記者会見で発表した。「災害対策本部のあり方」「断水対策」など検証内容と同じ11のテーマにわたり、127の取り組みを定めた。
 台風15号災害対応の検証結果改定版で取りまとめた「今後の対策」を整理し、それぞれ具体的に行う内容と実施時期を定めた。責任者を決めた上で2、3カ月ごとに進捗(しんちょく)状況を管理する。
 「災害対策本部のあり方」に関しては、あらかじめ災害の種類に応じたタイムラインを作成し、迅速な対策本部の設置につなげるとした。自衛隊などの「応援体制」については訓練を繰り返し、職員の対応レベルを向上させるとした。
 難波市長は「取り組みを推進し、市の災害対応力を飛躍的に向上させるために計画全体のマネジメントを徹底する」と述べた。

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