熱海土石流被災者 よみがえる悪夢「震え止まらず」 あの日から1年11カ月

 熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から1年11カ月が経過した。県内各地に被害を与えた大雨から一夜。被災者は「あの日の雨と非常に似ていた」「悪夢がよみがえり、震えが止まらなかった」と振り返った。伊豆山の復旧復興に向けて、安全確保を強く求める声も聞かれた。

雨の中で犠牲者に黙とうをささげる被災者=3日午前、熱海市伊豆山
雨の中で犠牲者に黙とうをささげる被災者=3日午前、熱海市伊豆山

 土石流の発生時刻とされる午前10時半ごろ、被災現場付近に集まった遺族、被災者らは雨の中で犠牲者に黙とうをささげた。2日の大雨で市内は目立った被害がなかったものの、国道135号や伊豆山地区の市道が通行止めになった。
 警戒区域内に自宅があり、市内で避難生活を送っている50代の女性は「一昨年のことを思い出して体の震えが止まらなかった。どうしたらいいのか分からず、パニックになった」と話した。
 市は2日、土砂災害警戒情報に伴う避難指示を市内全域に発令した。一昨年も同じ状況ではあったが、避難指示を出さなかった。自宅が全壊した被災者の太田滋さん(66)は「あの日、状況が分からないまま多くの人が亡くなったと思う。なぜ避難指示を出さなかったのか」と悔やんだ。
 市は来月3日、犠牲者の追悼式典を執り行う。9月1日には警戒区域を解除する方針だ。しかし避難生活を続けている小松こづ江さん(73)は「安全な避難場所も避難路も確保されていない。とても帰還できる状況とは思えない」と話した。

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