松崎の大蛇伝説、動画で後世に 飲み込まれた男の娘姉妹が敵討ち 地元有志“現場”の大岩撮影

 松崎町小杉原の住民らが、地元の大蛇伝説について発信する動画制作に取り組んでいる。4月下旬には、伝説にも登場し、地元の人が「50年以上存在を確認していなかった」という「蛇ケ挟(じゃばさみ)」の大岩を撮影した。動画制作を企画する一瀬薫さん(70)は「地域で受け継いできた伝説を知ってもらい、後世に残していきたい」と強調する。

蛇ケ挟の巨石を確認する住民ら=松崎町小杉原
蛇ケ挟の巨石を確認する住民ら=松崎町小杉原

 小杉原など周辺地域に伝わる大蛇伝説は、松崎町史資料編第四集民俗編(下巻)によると、甲州(山梨県)の男性が、村人を困らせる大蛇退治に向かうが、のみ込まれてしまい、男性の娘姉妹が敵討ちに臨むという内容。蛇ケ挟は、姉妹に弓矢で射られた大蛇が巨石の間に挟まり、息絶えた場所とされる。
 動画制作に携わるのは、地元住民と同地区でキャンプ場「へんな村」を展開する斎藤優さん(46)ら。4月下旬、60~70代の地元住民ら5人が蛇ケ挟の大岩を撮影しようと、登山に臨んだ。歩道のない険しい山中を進み、崖のそばにある巨大な岩を発見。大蛇が挟まったとみられる隙間も確認し、住民らは「これで間違いない」と声を弾ませてカメラに収めた。
 住民らは伝説の発信を基に地域のにぎわい創出を目指す。2021年には、へんな村と共同で地元の八幡神社に伝説にちなんださい銭箱も設置した。映像作品は仕上がり次第、DVDなどにまとめる予定。

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