農家の安定経営支える 収入保険導入4年 加入4倍、販売額下落や自然災害対応

 農家が対象の収入保険に加入する農業経営体数が伸長している。青果物の販売単価下落や自然災害に伴う経営打撃へのセーフティーネットとして、運営する県農業共済組合(NOSAI静岡)は自治体や各JAと連携しつつ普及に力を注ぐ。

NOSAI静岡の担当者と話す久野英敏さん(左)。収入保険に加入してメロン栽培を営む=袋井市
NOSAI静岡の担当者と話す久野英敏さん(左)。収入保険に加入してメロン栽培を営む=袋井市


 袋井市のメロン農家久野英敏さんは、2019年から収入保険に加入する。ハウスでの養液栽培を手がける中、停電で設備が止まるなどのリスクを考慮して加入を決めた。「保険があることで安心して未来を見据えた栽培や販路開拓に取り組める」と語る。
 NOSAI静岡によると、県内の収入保険加入件数(3月9日時点)は2138件と、制度を開始した19年の548件から約4倍に増えた。加入経営体の品目別は、ミカン31・4%と茶24・0%で過半を占める。19年に県西部を襲ったひょう害や20年以降の新型コロナウイルス禍を経て、幅広い作物の市場価格低下や出荷量変動、自然災害に対応した保険として普及が進んだ。
 21年の保険金支払い理由は「価格低下」が42%でトップ。「収穫量減少」27%、「気象災害」17%と続いた。現在の農産物価格は回復基調にある一方、農家の台風や竜巻など激甚災害への危機感は高まっている。
 NOSAI静岡は収入保険制度の認知や加入促進に向け、自治体やJAとの連携を進める。静岡市や県東部の一部市町では、自治体とJAが保険料を補助する制度を導入している。NOSAI静岡の担当者は「経営安定のために保険を必要とする農業者は多い。制度の認知に向けた取り組みを進めたい」と話す。

 

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