「沖あがり」100年フード認定 明治から続くサクラエビ“漁師飯” 普及へ意欲

 明治時代から駿河湾で水揚げされているサクラエビの漁師料理「桜海老の沖あがり」が、歴史的な食文化をたたえる文化庁の2022年度「100年フード」に認定された。サクラエビ漁の拠点港がある静岡市清水区由比地区の商工、飲食関係者が31日、市役所静岡庁舎に田辺信宏市長を訪ねて報告した。2日の春漁解禁と6月11日の「由比桜えびまつり」に向け、普及活動に取り組むと意欲を示した。

桜海老の沖あがり
桜海老の沖あがり
100年フードの認定証を手にする笹間理事長(中央)=静岡市役所静岡庁舎
100年フードの認定証を手にする笹間理事長(中央)=静岡市役所静岡庁舎
桜海老の沖あがり
100年フードの認定証を手にする笹間理事長(中央)=静岡市役所静岡庁舎

 沖あがりは、生のサクラエビや豆腐、ネギなどをすき焼き風の味付けで煮込んだ料理。1894年にサクラエビ漁が始まって以降、夜通し漁に励んだ船乗りが冷えた体を温め、大漁を祝う“漁師飯”として発祥した。現在は清水区由比、蒲原地区の飲食店などで味わうことができる。
 市役所を訪問したのは、由比桜海老商工業協同組合の笹間伴行理事長と渡辺敬文副理事長、由比料理組合の松永久さん。その場で調理した熱々の沖あがりを田辺市長に振る舞った。笹間理事長は「母親から教わった沖あがりの味を子ども、孫の世代に継承していきたい」と話した。
 2022年度の100年フード事業には全国から90件の応募があり、桜海老の沖あがりを含む70件が明治・大正時代に生み出された「近代の100年フード」に認定された。静岡市関係では、21年度に「静岡おでん」が選ばれている。

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