サクラエビ「駿河湾奥での産卵重要」 大森信東京海洋大名誉教授、静岡で講演

 長期化する駿河湾産サクラエビの不漁について、「さくらえび漁業百年史」の編著者でサクラエビ研究の第一人者として知られる大森信東京海洋大名誉教授(82)が17日、静岡市清水区の蒲原桜海老商業協同組合で講演し、不漁の原因や主産卵場の湾奥の重要性を訴えた。サクラエビの卵や幼生がとどまる湾奥を保護する重要性を強調。「不漁の原因究明について加工業者と漁師で力を合わせてほしい」と参加した加工業者らに呼び掛けた。

加工業者らにサクラエビの主産卵場である駿河湾奥の重要性などを解説する大森信東京海洋大名誉教授=17日午前、静岡市清水区の蒲原桜海老商業協同組合
加工業者らにサクラエビの主産卵場である駿河湾奥の重要性などを解説する大森信東京海洋大名誉教授=17日午前、静岡市清水区の蒲原桜海老商業協同組合

 大森名誉教授は不漁の原因の仮説を披露。「春漁で産卵前の親エビを漁獲しすぎたため、産卵時期が3カ月程度ずれてしまった」と説明。「湾奥を保護して餌となる植物プランクトンが豊富な初夏に産卵のピークを戻すことが必要」と説いた。
 サクラエビの主産卵場とされる富士川沖などの湾奥で、湾全体を反時計回りに流れる沿岸流とは逆向きの海流が存在することも解説。「地球の自転と急深な海底地形により富士川沖周辺では時計回りの海流が発生している。これがサクラエビが湾内にとどまる要因で、まさに神の恵み」と湾奥の重要性を重ねて指摘した。
 エビの卵に見立てた粒子が海流で湾内を移動するシミュレーション動画を用いて、富士川沖から放出した粒子の80%以上が湾内にとどまる様子を示した。
 講演後には参加した同区蒲原、由比地区の加工業者や漁師らと意見交換。「加工業者と漁師がともに議論し、不漁の原因究明で協力してほしい」と訴えた。

 ■加工業者、漁師ら早急な対策問う
 長年、サクラエビ研究に携わってきた大森信東京海洋大名誉教授が17日行った講演会には、長引く不漁から収益減に苦しむ加工業者や漁師らが集まった。「とにかく対策を講じなければ」。一向に改善されない不漁への疑問や早急な対策を問う意見が聞かれた。
 県桜海老加工組合連合会の池田照夫副会長は漁業者との情報共有を深める必要性を強調。「漁師と将来の漁の在り方について議論が必要」と語った。
 由比地区の40代男性は「不完全でも現状のデータで今できる対策を取らなければ。不漁が長期化すれば加工業者は経営が立ち行かなくなり、産業が衰退してしまう」と危機感を募らせた。産卵期と餌の増加時期が一致する重要性を認識したという蒲原地区の40代男性は、「加工業者ができる対策は何かを考えたい」と話した。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞