学校の謎ルール、見直しませんか⑦ 読者の意見【賛否万論】

 「学校の謎ルール 見直しませんか」は今回が最終回となります。文科省を中心に校則見直しの動きが広がり、今後は「ルールを変えてほしい」という子どもたちの声が増えていくことでしょう。改定手続きを明確にしたり、校則をホームページで公開したりすることも各学校で考えていく必要がありそうです。子どもたちと向き合う大人の姿勢が問われています。

読者 季節の小箱さん(焼津市)60代
 中学生の時、服装についての新しい校則が導入されることになりました。内容に納得できなかったので、導入に反対するための臨時生徒総会を開く準備を進めました。結果的には大人の圧力に屈しましたが、そういうことができたのは、14歳のその時までに、大人の誰かが「自分たちに合わないルールは自分たちで変えてよい」と教えてくれていたということです。今思えば、これはありがたいことです。
 世界には独裁者が自分の利益のために勝手に作っている規則もありますが、日本にある多くの規則は、みんなが幸せになるように作られています。ですから、今ある規則は、基本的には守るべきです。ただ、作られた時は正しくても、時間とともに、役に立たなくなったり人を不幸にするように変わってしまったりする規則もあり、そんな時は、みんなで力を合わせて変えていくことが大事です。
 もし、理不尽だと思える校則があったら、小学4年生までは、子どもの代わりに親が学校に交渉するのがよいと思います。でも、5年生からは「校則は子どもが育つための道具の一つ」としてとらえるのはいかがでしょう。
 まず、その校則で誰が幸せになるのかを、お子さんと一緒に考えてください。その結果、より多くの人が幸せになるために変えた方がよいと思うなら、「声の上げ方」をお子さんに教えてください。お子さんが本気になって声を上げようとするのなら、それを支援してください。そうすることで、「規則は天から与えられたものではなく、多くの人が幸せになるように人間が作ったものだから、規則について自分も積極的に考え、関わっていこう」という力が身につくのだと思います。

読者 匿名(静岡市葵区、他県出身者)40代
 他県出身で、4月から静岡市内の中学校に入学する子の母です。静岡市内には、男女共に夏でも制服の下に、ジャージー素材のハーフパンツを着用する中学校があるそうです。夏だと熱中症の危険性もありますし、ごわつきますよね。女子は、ショート丈のスパッツがあるのに。必要なのか疑問です。
 長袖ジャージーの着用も12~3月限定と聞きました。温度の感じ方なんて、人それぞれだと思います。薄着のまま寒さを我慢させるなんて、これが家庭だと虐待と言われますよね。タイツもダメ、コートもダメ。靴下や靴は白。傘は黒か紺、自転車はみんな同じようなシルバーの自転車。静岡の子どもは主体性のない、ロボットみたいな子が多いと思いました。
 物価も値上がりしている中、不要な物は購入したくありません。謎ルールだらけで困惑しています。保護者や生徒から、今までも問い合わせがあったと思いますが、かたくなに謎ルールを見直ししないのはなぜなのか、知りたいです。教師も、生徒と同じルールで過ごせばいいとさえ、思ってしまいます。

読者 大島宏幸さん(長泉町)会社員
 ブラック校則や謎の校則と批判するのは容易にできる。では、どういう校則が良いのだろうか。
 「THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す」(アダム・グラント著)を読んで、「動機付け面接」というカウンセリングアプローチを知った。人々を変えようとするのでなく、彼らが自力で変われるよう動機を見つける手助けをする。この手法は、生徒指導に役立つと思う。教員の負担が多くなるかもしれないけれど、校則違反で罰則を与えるより、良い結果が得られるはず。生徒が自ら考えて行動するような指導を行うべきだと思う。

読者 ふうかか417さん(御殿場市)40代
 現在、小中学生の子ども2人を育てています。
 田舎だからなのか、親も子どもたちも保守的で校則に疑問がないようです。変だと思う校則は、中学生女子のヘアピン禁止。危険だからだそうです。下着と靴下、靴も白。白は汚れが目立ち、しょっちゅう買い替えます。掃除の時の「黙動(もくどう)」も、初めて聞いた時は驚きました。楽しくワイワイ掃除したほうがいいと思います。校則は先生の押しつけでなく、生徒が決めてもいいシステムになったらいい。

読者 グレーゾーンの子どものための学習支援教室「学びのいろは」代表 寺岡勝治さん
 20年ほど前の話になります。夜間定時制高校に赴任した当初、卒業式の当日、仕事の作業着そのまま、帽子やサングラスをかけたまま、中には無断欠席するような卒業生が多くいたような状況でした。それ以降、始業式、終業式の正装での参加を促しました。数年後、式典中の私語は無くなり、出席率も上昇。ついには卒業式で無断欠席する者やガムをかんで参加する生徒はいなくなりました。
 〝謎〟と思う校則があるかもしれませんが、そこには教育実践の中で培われてきた背景があると思います。大人はそういった認識に立ち、できるだけ校則を変えようとしない立場でいる方がいいと思います。ではどうすればいいのか。大人が正しいことを与えるのではなく、子どもたち自身が訴え、作り変えていけばいいのではないでしょうか。その方が価値あることだと思います。

読者 ノブさん(静岡市清水区)74歳
 43年間、私学の高校と中学校の教育現場にいました。なおかつ生徒指導を中心に携わってきました。高校生対象の時は体育教師の強圧的な指導をしていましたが、中学生対象となってからは社会科教師として、生徒会自治を中心にした指導に切り替えました。
 まずは、学校への要望や、生徒が抱える諸問題について、毎週1~2度は生徒会の子どもと昼食を共にして話し合いました。自転車通学のクレームがきたら、すぐに生徒会の交通安全委員会と担当教員で話し合い、その日のうちに対応していました。
 常に学校は生徒会自治の活性化(情報の共有と対応の共有)によって成り立つものと思っています。その生徒会を育てるのが、校長と教師たちの力量だと思います。中学校も高校も校則は、生徒の尊厳と生命を守るものとして簡単明瞭なものにし、そのルールの作成と運用を生徒に任せ、教師はファシリテーターとしての立場にいることが、子どもたちのルール順守の精神を育むことにつながるものと思っています。

読者 澄んだ青空さん(焼津市)72歳
 「校則」とはどうあるべきかについて、「道徳教育」との関連性で考えた。
 中学校の場合、中学校学習指導要領第3章に「特別の教科 道徳」があり、その内容として「法やきまりの意義を理解し、それを進んで守るとともに、そのよりよい在り方について考え…」とある。ここで「校則」という言葉は出てこないが、「決まり」についてはこのように書かれていて、権利を大切にし義務を果たして規律ある安定した社会の実現に努めるとなっている。
 まず、現行の「校則」のそのものの意義を理解し、教師は進んで守ることの意義も「道徳」できちんと教え、生徒は学ぶことが大切なのではないかと思う。
 そして、校則の見直しなどの議論は生徒の考え方も尊重し、前述の基本に沿って道徳と併せて考えることも解決への一つの糸口になるのではないか。

 ■次回のテーマ 育休中のリスキリング(学び直し)どう考える?  
 次回のテーマは「育休中のリスキリング(学び直し) どう考える?」です。
 リスキリングとは、仕事に生かせる新たな知識・技能を習得したり、新たな職業に就くために必要なスキルを身に付けたりすることです。
 岸田文雄首相が国会で、育児休業中の人たちのリスキリングを支援する考えを示したことをきっかけに議論百出しました。「乳幼児育児の大変さを理解していない」「育休は休みではない」などと批判が噴出した一方、育休中に学びの機会を求める人たちがいるのも事実です。
 育休中のリスキリングは可能なのでしょうか。そのために必要なものは何でしょうか。そもそも育休中に必要なのでしょうか。当事者の声や識者の意見を紹介しながら、考えてみたいと思います。

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