地方議会「女性ゼロ」14% 政治の男女均等程遠く… 静岡県は5市町 全国、1人以下は4割

 都道府県と市区町村の全1788地方議会のうち、女性議員がいない「女性ゼロ議会」が2022年11月1日時点で257あり、全体の14・3%を占めることが4日、共同通信の調査で分かった。女性が1人しかいない議会は437で、両者を合わせると38・8%に上る。全在職議員の女性割合は15・4%、現職議長が女性の議会はわずか4・2%だった。

静岡県内の女性ゼロ議会
静岡県内の女性ゼロ議会
都道府県別の女性ゼロ議会割合
都道府県別の女性ゼロ議会割合
静岡県内の女性ゼロ議会
都道府県別の女性ゼロ議会割合

 静岡県議会と県内市町35議会のうち、女性議員がいなかったのは下田、南伊豆、松崎、河津の4市町。調査後の2022年11月末に熱海市で唯一の女性議員が辞職し、女性ゼロ議会は5市町に増えた。御前崎、函南、西伊豆の各市町議会には女性が1人しかいない。全在籍議員に占める女性の割合は4日現在16・1%で、現職の女性議長はいない。
 女性ゼロ議会数は年々減少傾向にあるが、「政治分野の男女共同参画推進法」が目指す均等には程遠く、子育て支援や雇用など生活に直結する政策議論の場に、男女双方の視点を反映する体制がいまだ整っていない実態が浮かぶ。
 22年11月~23年1月、全地方議会議長を対象にアンケートを実施し、1783議会が回答。無回答の議会は女性議員数などを個別に取材した。
 女性ゼロ議会は市が23、町は164、村は70。市議会全体に占める割合は2・9%、町村議会では25・2%に上った。都道府県と区にはなかった。都道府県議会で女性が1人だったのは山梨、熊本の2県だった。
 内閣府によると、12年12月末時点のゼロ議会は410、21年12月末時点では275だった。
 都道府県別で見ると、全ての地方議会に女性がいたのは栃木、千葉、神奈川、大阪、広島、香川。ゼロ議会が一つしかなかったのは埼玉、新潟、三重、兵庫、島根、山口、愛媛だった。ゼロ議会の割合が最も高かったのは青森。41議会中15議会、36・5%を占めた。福島、奈良もそれぞれ3割以上の議会で女性がいなかった。
 現議長は女性76人、男性1712人。直近の市町村合併以降、女性の議長就任歴がある議会は433(24・2%)、副議長は956(53・4%)だった。
 女性議員を増やす取り組みについての質問では、289議会が「実施している」、1493議会が「実施していない」と答えた。取り組み内容を複数回答で尋ねたところ、「ハラスメント対策」が115で最多。「議員対象の男女共同参画に関する研修」が68、「女性の政治参画に関する意識啓発」が45で続いた。

女性議員増 どう促進 家庭との両立支援目立つ/議席割り当て制は意見割れる
 共同通信の地方議会議長アンケートで、女性議員を増やしたり活動しやすくしたりするための取り組みをしていると答えたのは、静岡県内では県議会含む36議会中8議会(22・2%)にとどまった。全国は16・2%とさらに低かったものの、個別の先進事例も示された。
 取り組みは、家庭と公務の両立のための環境整備が目立った。議会の欠席事由に出産・介護などを明記する動きは県内でも進むが、全国では「出産のための欠席を議員報酬の減額の適用除外としている」(佐賀県唐津市)、「本会議・委員会への乳幼児の同伴や、育児などで出席が困難な場合はオンラインでの委員会出席が可能」(茨城県)など踏み込んだ事例があった。
 静岡県内の事例としては、ハラスメント防止や男女共同参画に関する研修、市民参加の女性議会開催などがあり、「政治は男性のもの」という価値観の払拭を課題と捉える意見が多かった。「ダイバーシティ推進検討特別委員会を設置し協議中」(三島市)、「女性や若者の議会参画について検討会を設置した」(下田市)と具体策を検討中の議会もあった。
 効果的と考えられる取り組みとして、女性割合が増加傾向にある浜松市議会は「議会や政党要職への女性起用」を挙げ、「実際に女性が要職に就くことで市民の関心が高まる」と理由を説明した。
 立候補者や議席の一定割合を女性に割り当てるクオータ制の導入については意見が割れた。「女性が出馬しやすい環境が必要」(松崎町)、「女性に限定した取り組みがあれば一歩を踏み出しやすくなる」(富士宮市)などと必要性への言及があった一方、「外的な力による操作でなく、社会全体の意識改革こそが恒久的な対策」(磐田市)との見方もあった。

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