西伊豆で「バイオ炭」農法 野菜作り、環境に優しく 学生団体がブランド化 CO2削減へ

 NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)の学生が、生物由来の資源を使った「バイオ炭」を土壌に混ぜる農法を活用し、二酸化炭素(CO2)を削減しながら野菜を栽培する取り組みを西伊豆町で進めている。同町でかつて起きた豪雨災害に伴う救援活動をきっかけに、地域の活性化に携わっている同法人。耕作放棄地を使い、環境に優しい野菜としてブランド化を目指す。

バイオ炭を活用して育てたエビイモを収穫する平沢柚香さん(左)ら=西伊豆町宇久須
バイオ炭を活用して育てたエビイモを収穫する平沢柚香さん(左)ら=西伊豆町宇久須

 IVUSAは全国の学生で組織する団体。2013年7月の大雨により同町で土砂災害や浸水被害が発生した際、学生約100人が土砂のかき出しなどの災害ボランティアを担った。支援活動が縁となり、14年からは地域のイベント運営や景勝地の景観保全にも携わっている。
 野菜栽培は住民が取り組んでいた炭を土に混ぜて土壌改良する方法を学生たちが引き継ぎ、16年から始まった。同町宇久須の畑で環境に配慮しつつ、無農薬で育てた安全な作物として定着を図った。
 ただ、新型コロナウイルス禍の影響で活動が停滞。現地を訪れることができず、畑も一時荒廃した。昨年から徐々に復旧作業に励み、秋には約千平方メートルの農地で400キロ余りの野菜を収穫。町内のイベントで販売したり、ホテルの食材として提供したりしてきた。
 IVUSAの元職員で、町地域おこし協力隊として畑の取り組みに関わる高井洋季さん(41)は「学生が地域のために働きかけることで、住民を巻き込んだ事業につながっている」と説明する。
 活動の中心を担う東洋大3年の平沢柚香さん(21)=熱海市出身=は「西伊豆は幼少期からなじみのある場所。栽培した野菜が“西伊豆ブランド”として定着するように活動を後輩につなぎ、循環する取り組みにしたい」と意気込む。

 バイオ炭 バイオマスを加熱してつくられる炭の総称で、木炭や竹炭などが該当する。木材などに含まれる炭素は放置すると微生物によって分解され二酸化炭素(CO2)として大気中に放出されるが、炭化して土に埋めることで土壌に炭素を閉じ込めることができるため、CO2削減につながる。土壌の透水性を改善する効果も認められている。

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