函南メガソーラー計画 トーエネック撤退「事業を進めるのは困難」

 函南町軽井沢で大規模太陽光発電所(メガソーラー)事業を計画していた中部電力グループのトーエネックは24日、「事業環境が厳しくなり、開始が困難」として事業からの撤退を発表した。一方で他の事業者が計画を継続する可能性もあり、同社は事業の完全撤退に向けて交渉を行っているという。
 同事業は東京ドーム13個分に当たる65ヘクタールに約10万枚のソーラーパネルを設置する計画。同社と開発事業者のブルーキャピタルマネジメント(東京)が進めてきたものの、地元では防災上の危険や景観への影響などから住民による反対運動が起きている。一昨年に熱海市で発生した大規模土石流で危機意識がさらに高まり、トーエネックの藤田祐三社長が20日に町役場を訪れて「事業を進めるのは困難」と仁科喜世志町長に話したという。
 予定していた総投資額は164億2千万円で、既に約104億円を関係事業者に支払い済み。今後協議して「回収に努める」とするほか、「撤退したら無関係ではなく、函南では事業の実現が困難との理解が(関係事業者からも)得られるよう交渉を続ける」とした。経産省が認可する電力固定買い取り制度(FIT)のIDの扱いについては、「交渉中のため答えられない」という。
 事業への不同意を表明している仁科町長は、2社に対して「確実な撤退と認定ID、林地開発許可の取り下げを要望する」とコメントを出した。

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