開設20年の歩み紹介 上野病院長「患者視点重視を継続」 静岡がんセンター講座最終回

 がん医療を学ぶ県立静岡がんセンターの公開講座2022「知りたい! 聞きたい! がん医療」(静岡新聞社・静岡放送主催、スルガ銀行特別協賛)の最終回が14日、オンライン形式で開かれた。坪佐恭宏副院長兼食道外科部長が食道がんの最新治療、上坂克彦病院長が同センター開設20年の診療進歩をテーマにそれぞれ講話した。

県立静岡がんセンター開設の歩みを紹介した上坂病院長=沼津市のサンフロント
県立静岡がんセンター開設の歩みを紹介した上坂病院長=沼津市のサンフロント

 坪佐副院長は、19年の食道がん罹患(りかん)者数が約2万6千人で、うち約8割が男性患者と説明した。食道がんの主な原因は過度な飲酒や喫煙とされ「飲酒で顔が赤くなる人は分解に関わる酵素の活性が弱いため、注意が必要」と呼びかけた。手術後は嚥下(えんげ)機能が低下して肺炎の危険性があるとし、呼吸法や食生活の見直しを求めた。
 上坂病院長は最先端医療を取り入れた20年間の歩みを紹介した。外科治療では、患者の負担を軽減する手術に力を入れ、ロボット支援手術を導入。放射線・陽子線治療は照射精度が高い技術を多くの患者に提供してきた。抗がん剤治療は新薬の開発が進んでいるという。「患者視点を重視し、次の20年に向け挑戦を続けたい」と語った。
 上坂病院長は急拡大する新型コロナウイルスの感染状況にも触れた。「がん患者は重症化リスクが高いためワクチンを接種し、感染予防に取り組むことが重要」と指摘。がんの診療や検診は予定通り受診するよう強調した。

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