しずおかフィナンシャルグループ社長/柴田久氏 社会課題解決へ新事業【難局に挑む 新年トップインタビュー②】

柴田久氏
柴田久氏

 ―当面の経済見通しは。
 「2023年前半は難局が続くと想定される。インフレで原材料を含めたさまざまな物の値段が上がり、地域経済を取り巻く環境はかなり厳しいと思う。賃上げの進展も注目点になる。一方で課題が多ければ多いほど、われわれの役割も大きい。地域、顧客にしっかり寄り添い、地域活性化に貢献していく」
 ―今年の注力事業、特にグループ子会社の新設の方向性は。
 「来年度の始動に向けて準備を進めている。人材やDX(デジタルトランスフォーメーション)、地域の経営資源を活用するまちづくり会社などが候補に考えられ、長期的には脱炭素推進なども検討事項だ。新会社をつくったり、他の組織と連携したり、資本参加したりといった幅広い手法を探り、社会課題解決に資するメニューを増やしていく」
 ―山梨中央銀行、名古屋銀行との連携の現状と展望は。他の金融機関と協業の可能性は。
 「山梨中央銀とは銀行の現場レベルやグループ会社同士で連携が進んでいる。包括業務提携に伴う経済効果目標を5年間で100億円としていたが、昨年9月の段階で81億円に達した。名古屋銀とは人事交流を始めている。産業構造の変化が予想される中、地域をまたいで互いのノウハウを出し合い取引先を支援していく。(他の金融機関とは)包括業務提携という形ではなく、個別のパーツで連携していく必要はあると思う。金融機関同士が協働していかなければ生き残れない時代に入っている」
 ―持ち株会社体制に移行してから3カ月が経過した。今後のビジョンは。
 「4月から新中期経営計画がスタートする。それぞれの事業会社が既存の事業領域を深掘りし、より大きくし、グループ全体で新しい領域に踏み出していく。人的資本経営を経営戦略の中心に据え、グループ内の人材育成も積極的に取り組む」

 しばた・ひさし 1986年静岡銀行入行。2017年から頭取を務めた。22年10月から現職。静岡市出身。59歳。

 

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