大自在(1月6日)年の初めに

 静かな年明けを迎えて、静岡市葵区の浅間神社に初詣に出かけたついでに、賤機山の稜線沿いに延びるハイキングコースを歩いた。目的地は直線距離で6キロほど北にある鯨ケ池。
 今年はできるだけ体を動かそう。それにはまず正月から。頭にそんな考えがあったのは確か。途中でばったり出会った高校時代の同級生も同じような思いを話していた。日ごろの運動不足と迫ってくる老いに対して、なんとかしたいという気持ちに変わりはないのだろう。
 アップダウンを繰り返す山道を通り抜け、下山しても歩き続けて帰宅すると、やはり下半身が重い。案の定、翌日には膝に痛みが。あっさりとその日の散歩は諦めた。年がいもなく頑張りすぎたのか、そもそも継続への考えが足りなかったのか。
 長続きしないことを指す言葉には「三日坊主」のほか、「桐壺源氏」もあるそうだ。長編の源氏物語を読もうとして最初の「桐壺」で挫折する意味を示すという。昔から一念発起はしたもののその持続に苦労する先人が多かったことの証左だろう。
 さまざまなチャレンジを始める時機として年初はふさわしい。岸田文雄首相も年頭会見で、「先送りできない課題への挑戦」を続けると強調した。内外に課題が山積する中、国民の声を聞かず重要政策を相次いで決定し、政権への風当たりも強い。口にした覚悟を具体的な成果で示してもらいたい。
 ハイキングコースから望む富士山や南アルプスは雪を冠してまぶしく見えた。歩き続けて体力をつけた上で無雪期なら、その頂に立つのも夢ではない。

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