原発活用、運転期間延長 特殊事情の浜岡、上乗せ対象「考慮」か

 政府が22日のGX実行会議で決定した原発の運転期間延長で、中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)を巡っては、当時の民主党政権の要請を受け入れて全炉停止した2011年5月以降の期間が「原則40年、最長60年」の上乗せ対象になるかどうかが焦点となる。関係者によると、政府与党の間で既に議論が進められていて、全国の原発で唯一の特殊事情が上乗せの事由として「考慮される」との観測が出ている。

浜岡原発
浜岡原発

 経済産業省が示した運転期間延長の仕組みは、原子力規制委員会による安全性の確認を大前提に「事業者が予見しがたい事由による停止期間」を60年超の追加延長部分として上乗せする。再稼働の審査対応を含む東日本大震災後の法制度の変更、行政命令・勧告・指導、裁判所による仮処分命令に伴って生じた停止を事由の例に挙げるが、「政府要請」の文言は記載していない。
 ただ、ある与党関係者はこれまでの水面下の議論を踏まえ「(事由に)入ってくる」と感触を明かす。電力業界からも「要請で止まったものも、停止期間に入れる方向と感じている」(関係者)との声が聞かれる。仮に要請を起点に現時点までをカウントすると、約11年半が上乗せされることになる。
 一方で、5号機は要請受け入れ時の停止作業で原子炉などに海水が流入したため、一部の機器の補修や取り換えが必要になり、再稼働に向けた審査を申請できていない。経産省は停止事由から「事業者の不適切な行為によるものを除く」としていて、中電関係者はトラブルの影響期間がこれに該当するか、しないかをみなす判断は「難しい」と漏らす。
 政府は関連法案を来年の通常国会に提出する方針で、経産省の担当者は運転期間延長に係る制度の詳細も「これから詰める」と説明。県内国会議員の1人は「浜岡に制度がどう適用されるか、国会審議の中である程度の形が見えてくるのではないか」と指摘する。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞